夫婦別寝室層の離婚率、実は0.41/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約27.7%。年離婚確率で見ると、全国平均の約1.1倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
夫婦別寝室の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①夫婦別寝室とは?調査対象となる夫婦の定義
ここでの「夫婦別寝室」とは、完全に別の部屋で就寝している夫婦を指します。
同じ寝室にいながら、布団やベッドを分けているケースは対象外です。
日本国内に住むすべての既婚カップルのうち、この条件に当てはまる層がどれくらいなのか見ていきましょう。
②夫婦別寝室の割合は?年齢・世代別の推移も紹介
厚労省のデータによると、日本の既婚カップルは全部で約2,735万組います。
このうち、「別々の部屋で寝ている」と答えた割合は、2016年のオウチーノ総研によれば27.3%でした。
オウチーノ総研『夫婦仲と寝室』調査(2016年)によると、別寝室で寝ている割合は約27.3%。
東京ガス都市生活研究所(2024年)の調査では、50代以上になるとその割合は30%超。
これらの情報をふまえて、今回は全年齢平均としてやや控えめに25%と設定します。
すると、夫婦別寝室に該当する層の人数は...
2,735万組 × 25%= 約683.8万組
③フェルミ推定から見えた離婚件数と離婚確率
現在、日本の既婚カップル全体における年間離婚確率は約0.67%とされています。
一方で、「夫婦別寝室だから離婚しやすい」とまでは言いきれないものの、会話が少なくなると離婚リスクが1.5倍になるという研究報告もあります(日本家族社会学会, 2020年)。
そこで今回の推定では、別寝室の夫婦は平均よりも少し高いリスクを持つと仮定し、離婚確率を1.3倍に設定しました。
0.67% × 1.3= 0.87%(年)
これをもとに、年間の離婚件数を計算すると...
683.8万組 × 0.87%= 約59,491件
④全国平均と比べて多い?人口ベースで見た離婚率の違い
推定によると、夫婦別寝室層の離婚は年間でおよそ59,491件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
59,491 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.48/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は 1.52/1000人です。
つまり、夫婦別寝室層の離婚率は、全国平均のおよそ27.7%を占めているんですね。
また、年間59,491件という離婚件数は、1日あたりに換算すると…
59,491 ÷ 365 ≒ 約163組/日

これは、毎日約163組の「別寝室夫婦」が離婚していることになるんです。
SNSと検索データから見えた夫婦別寝室の本音
①「生活が別になった感じ」SNSにあふれるリアルな声
まず、SNS上での投稿を調べてみると、「夫婦別寝室」に関する声は意外とたくさん見つかりました。
内訳を見てみると、ポジティブな投稿が122件(約58%)、ネガティブな投稿が73件(約35%)、そして中立的な意見が18件(約7%)という結果に。
「よく眠れるようになった」「ケンカが減った」など、寝室を分けることで心身ともに快適になったという声もあれば…
「ケンカの末に別室になった」「距離ができた感じがしてさみしい」といった不安や違和感の声も見受けられました。
このように、テーマ全体としては強い肯定でも否定でもない偏りがない状態であると言えそうです。
こうした投稿傾向をふまえて、SNSによる補正係数はやや少なめの0.95と設定しました。
②検索数は意外と安定?Googleトレンドが示す関心度
「夫婦 寝室 別」というワードで検索数を見てみると、2010年ごろに一度グッと増えたあと、現在に至るまで比較的安定した関心が続いています。
今では、長期的に注目されるテーマのひとつと言えるでしょう。
ただ、「夫婦 寝室 別 離婚率」のような検索はごくわずかで、直接的な関連づけはされていないようです。
地域別では、福井・石川・徳島・奈良など地方圏での検索が多く見られました。
これは、都市部よりも住環境にゆとりがあることと関係しているのかもしれません。
このように「一部では高い関心があるが、一般的とは言えずやや限定的」と判断し、Googleトレンドの補正係数はやや低めの0.9に設定しました。
③別寝室=離婚予備軍なのか?データが示すギャップ
ここまでで設定したSNS補正係数0.95と、検索トレンド補正係数0.9を掛け合わせます。
0.95 × 0.9 = 0.855
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:59,491件 × 0.855 ≒ 50,865件
年間離婚確率:50,865 ÷ 6,838,000(対象テーマ夫婦の数) ≒ 0.74%/年
離婚率:50,865 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.41/1000人
そして、1日あたりに直すと…
50,865 ÷ 365 ≒ 約139組/日
つまり、毎日およそ139組の夫婦が、「夫婦別寝室」から離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ27.7%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「夫婦別寝室」層は約1.1倍の離婚リスクがあるんです。
これからの夫婦別寝室、離婚率はどうなる?未来シナリオを予測
①離婚件数が半減?別寝室でも円満に暮らす未来
まずは、「別々に寝ること=快適な距離感」と前向きにとらえる家庭が増え、寝室以外の時間ではしっかり会話しようとする…そんな未来を想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率0.74%から、毎年0.02ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
0.74% − (0.02 × 10) = 0.54%
この0.54%の離婚確率を、該当する夫婦別寝室層数(約683.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:683.8万組 × 0.54% = 約36,925件/年
離婚率:36,925 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.30/1000人
1日あたりで見れば、約101件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(50,865件/年)から約13,940件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約38組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。

「一緒に寝ないからこそ、大事にできる時間もある」…そんな価値観が広まれば、別寝室でも円満に暮らせる未来になるんです。
②離婚確率が1%超に?すれ違いが続いた場合の未来
一方で、「別寝室=会話が減る」「生活がすれ違う」…そんな状況が続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.03ポイントずつ上昇すると仮定します。
すると、10年後には…
0.74% + (0.03 × 10) = 1.04%
この1.04%の離婚確率を、同じく該当する夫婦別寝室層数(約683.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:683.8万組 × 1.04% = 約71,115件/年
離婚率:71,115 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.57/1000人
1日あたりでは、約195件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(50,865件/年)と比較すると、1年で約20,250件も多くなり、10年で20万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、1.04%は約1.55倍に相当。

「寝室が別」だったことが、やがて「心も別」になってしまう…そんな未来は、できれば避けたいところです。
③10年後の離婚率に差が出る?今からできる夫婦関係の工夫
ポジティブな未来(0.54%)とネガティブな未来(1.04%)を比べると、たった10年で約0.5ポイント=約1.9倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率に換算すれば、0.30/1000人と0.57/1000人。
年間の離婚件数では36,925件と71,115件という、なんと34,190件もの違いが生まれるんです。
この差は、わずかなの心がけの有無が、どれほど未来に響くかを物語っています。
実際にネット上でも、「少しの意識で夫婦関係が変わった」という声がたくさん見られました。
- 毎週1回、10分だけ話す時間をつくる
ある家庭では、子どもが寝たあとに「今日は仕事どうだった?」と雑談する時間を週1だけでも意識的に確保するようにしたそうです。 最初は違和感があったものの、次第に自然な習慣となり、夫婦で予定や悩みを共有できるようになったといいます。 - 寝室は別でも入眠前5分だけ一緒にいる
寝室を分ける生活を続けていた夫婦が、「おやすみ前だけ同じ部屋で少し話す」を始めたことで、気持ちの距離が縮まったという体験談も。 寝室を別にすることでリラックスできても、その前後の心の共有が重要なのかもしれません。 - 「一緒に眠れない理由」をお互いに説明する
子どもの夜泣きや仕事の疲れ、いびきなど、別室の理由はさまざま。 ある家庭では「一緒に寝るのが嫌なんじゃなくて、こういう事情があるんだよ」と伝え合ったことで、誤解や不安が減ったそうです。 説明を省かないことが、信頼の維持に繋がるようです。 - レスと仲の良さを結びつけないようにする
別室=セックスレス=不仲、と結びつけがちですが、ある夫婦では「物理的な距離と気持ちの近さは別」と考え、 別室でもスキンシップや感謝を意識的に伝えるようにしているそうです。 視点を少し変えるだけで、関係の意味づけも変わるのかもしれません。 - 「おはよう」と「おやすみ」は毎日言葉で伝える
同じ部屋で寝ない分、日々の挨拶を口にすることが少なくなってしまったという声も。 ある家庭では、朝と夜の「声かけ」だけは意識して習慣にすることで、気持ちのつながりを実感できるようになったといいます。 簡単な挨拶でも、意識して交わすだけで関係性が変わるようです。 - 週末だけ同室に戻る日をつくる
平日は仕事や育児の疲れから別寝室にしている家庭が、週末だけ同じ部屋で過ごす「一緒寝ルール」を設けた事例があります。 完全に別ではなく、時々でも共寝の時間を持つことで、安心感とつながりを保てたそうです。 強制ではなく、「今日は一緒に寝ようか」くらいのゆるい約束が、ふたりの距離を自然と近づけてくれるんです。
寝室をどうするかは、あくまで暮らしやすさの手段のひとつです。
一緒に寝ることよりも、どれだけ話しているか、どれだけ想いを伝えているかが、10年後の関係を左右します。

今日のほんの一言が、未来の「一緒にいてよかった」に変わっていくのかもしれません。