妊娠中の離婚率、実は0.093/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約6.3%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約3.24倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
妊娠中の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①妊娠中の離婚とは?対象となる夫婦の定義
ここで対象にするのは「妊娠中の既婚女性とその夫」です。
まずは、お腹に赤ちゃんがいる状態の夫婦は、どれくらいいるのか見ていきましょう。
②妊娠中に離婚する割合を推定
日本で1年間に生まれる赤ちゃんはおよそ727,277人(厚生労働省『人口動態統計(2023年)』)。
妊娠期間は平均9か月なので、年間平均で妊娠している人数は、
727,277 × (9/12) ≒ 545,458人
このうち出生時に婚姻関係にある割合は約98.1%(厚生労働省『出生に関する統計(2023年)』)。
よって婚姻中の妊婦は
545,458 × 0.981 ≒ 535,970人
つまり、夫婦ペアにすると、妊娠中の既婚カップルは 約535,970組 です。
③調査結果と仮定に基づいた年間離婚確率と件数
厚生労働省『人口動態統計年報(2019年)』によると、年間離婚件数のうち約10%(約18,380件)が妊娠中または産後1年以内の離婚です。
ここでは、その半分が妊娠中の離婚と仮定します(産後と均等に分ける想定)。
すると妊娠中の離婚件数は
18,380 × 0.5 ≒ 9,190件
また、離婚確率は
9,190 ÷ 535,970 ≒ 1.71%/年
④妊娠中の離婚率と全国平均との比較
推定によると、妊娠中カップルの離婚は年間でおよそ9,190件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
9,190 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.0735/1000人。
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、妊娠中離婚は全国の離婚件数の約4.8%を占めているということ。
また、年間9,190件という件数は、1日あたりにするとおよそ25組の夫婦が妊娠中に離婚している計算になります。

そして、既婚層全体の年間離婚確率(0.67%)と比べると、妊娠中カップルの離婚確率は1.71%で、およそ2.55倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた妊娠中離婚の実態
①SNS投稿から見える「孤独」や「すれ違い」の声
SNSで妊娠中に関する投稿を分析みると、ネガティブな内容が170件、ポジティブな内容は149件。少しだけですが、ネガティブな声のほうが多い結果でした。
ネガティブな投稿には、こんな声がありました。
妊娠中、体調不良で寝込んでいたら、『家にいるんだから洗濯くらいしてよ』と言われた
肋骨痛で苦しんでいるのに、旦那から『骨密度が低いからじゃない?』と自業自得のように言われた
他にも、「理解のないモラハラ夫から追い詰められてどうしてこんなに苦しめられなきゃいけないの」なんて不満も。
これらの背景には、つわりや痛みなど体のつらさへの理解不足、夫婦の気持ちの温度差などがあると考えられます。
特に『非協力的な夫』や『妊娠中の浮気』といった出来事は、一時的な衝突では済まず、夫婦関係が悪化する原因にもなっています。
こうしたSNSの傾向から、本分析では少し高めに1.15という補正係数を設定しました。
②Googleトレンドで読み解く関心度の変化
Googleトレンドのデータでは、「妊娠中の離婚」に関する検索関心は2015年前後にピークを迎え、その後は少し下がったものの、今も安定して検索されています。
特に鹿児島県・宮崎県・和歌山県など、地方圏で関心が高い傾向がありました。
こうした地域では、家族や夫婦のあり方に伝統的な価値観が今も残っていることが多く、嫁姑関係や「夫は仕事、妻は家庭」といった固定的な役割が、夫婦のストレスにつながることもあります。
また、都市部に比べると相談できる場所や支援サービスが近くにない場合も多く、「ネットで調べて解決策や同じ悩みを持つ人の声を探す」という動きが強くなりやすいのです。
こうした関心の持続と地域差を踏まえ、検索トレンドによる補正係数は、やや高めの1.1に設定しました。
③SNSと検索データを掛け合わせて見えた現実
ここまでで設定したSNS補正係数1.15と、検索トレンド補正係数1.1を掛け合わせます。
1.15 × 1.1 = 1.265
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:9,190件 × 1.265 ≒ 11,627件
年間離婚確率:11,627 ÷ 535,970(対象夫婦の数) ≒ 2.17%/年
離婚率:11,627 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.093/1000人
そして、1日あたりに直すと…
11,627 ÷ 365 ≒ 約32組/日
つまり、毎日およそ32組の夫婦が、妊娠中という状況で離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ6.3%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、妊娠中カップルは約3.2倍の離婚リスクがあるんです。
今後妊娠中夫婦の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚件数が7割減?支援が進んだ場合のポジティブ未来
まずは、妊娠期の男性向け教育や父親としての自覚を育てる取り組みが、全国的に広がった未来を想像してみましょう。
また、妊娠中のメンタルケア外来や地域助産師の訪問サポートが全国で受けられる状態も整っているとします。
この場合、現在の年次離婚確率2.17%から、毎年0.15ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.17% − (0.15 × 10) = 0.67%
この0.67%の離婚確率を、該当する妊娠中既婚カップル数53.6万組に当てはめてみると、
年間離婚件数:53.6万組 × 0.67% = 約3,586件/年
離婚率:3,586 ÷ 1億2,500万 × 1000 ≒ 0.029/1000人
1日あたりで見れば、約10件/日。
また、既婚層の平均離婚確率(0.67%)と比べると、同じ水準になります。
ここで注目したいのは、現在の補正後数値(11,627件/年)から約8,041件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約22組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。

妊娠期を「ふたりで乗り越える時間」に変えることができれば、これほど大きな違いが生まれるのです。
②離婚確率3.67%に上昇?支援不足による悪化シナリオ
一方、支援も理解も広がらず、妊娠中の孤立や負担感がそのまま続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.15ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.17% + (0.15 × 10) = 3.67%
この3.67%の離婚確率を、同じく妊娠中既婚カップル数53.6万組に当てはめてみると、
年間離婚件数:53.6万組 × 3.67% = 約19,660件/年
離婚率:19,660 ÷ 1億2,500万 × 1000 ≒ 0.157/1000人
1日あたりでは、約54件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の補正後数値(11,627件/年)と比較すると、1年で約8,033件も多くなり、10年で8万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、約5.5倍に相当します。

妊娠中に受けた心の傷やわだかまりは、夫婦関係に大きな影響を与えるということですね。
③10年後の差と、いま私たちが取れる行動
ポジティブな未来(0.67%)とネガティブな未来(3.67%)を比べると、たった10年で約3ポイント=5.5倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.029/1000人 vs 0.157/1000人。
年間離婚件数では3,586件と19,660件という、なんと16,074件もの違いが生まれます。
この差は、妊娠期の過ごし方や環境づくりが夫婦の将来を大きく変えることを表しているんです。
実際にネット上では、「妊娠中にもっと支えてもらえたら違ったかも」「夫の意識が変われば関係も変わる」という声も多く見られます。そんな声を参考にした、具体的な対策がこちらです。
- 夫婦の予定共有アプリを導入する
あるご夫婦は、健診日や家事当番をアプリで見える化しました。「言った・言わない」のすれ違いがなくなり、自然と協力の意識が高まったそうです。精神的な負担も軽くなり、安心して妊娠期を過ごせたとのこと。 - 実家や親族との「協力スケジュール」を固定化する
ある家庭では、週に数回、実家で食事や洗濯をお願いする日をあらかじめ決めていました。急な体調不良でも慌てずに済み、頼る側も頼られる側も気持ちが楽になったそうです。 - 妊娠期の家事を外注する
ある妊婦さんは、掃除や買い物を思い切って家事代行や宅配に切り替えました。その結果、体力を温存でき、夫婦間の喧嘩や不満もぐっと減ったそうです。 - 感情的な会話になったら休憩する
ある夫婦は、口論になりそうなときは「5分だけ休憩」とルールを決めました。おかげで衝動的な発言を防げて、家庭内の空気も穏やかに保てたそうです。 - 支援制度の情報を定期的にチェックする
あるご家庭では、自治体の妊婦・子育て支援制度を定期的に確認。必要なときにすぐ活用できたことで、経済面や生活面の負担が減り、夫婦関係も安定したといいます。
それでも、夫の不倫や信頼を大きく損なう出来事など、どうしても受け入れられない理由で離婚を選ぶこともあるかもしれません。
そんなときは、次に挙げるような備えをしておくことが大切です。
- 養育費や慰謝料の請求方法を早めに確認しておく
妊娠中から法テラスや弁護士相談を活用し、離婚協議書や公正証書の作り方を理解しておきましょう。出産後の負担を減らし、金銭的な権利を確実に守れます。 - 児童扶養手当・医療費助成などの制度を活用する
市役所で「ひとり親支援制度」を確認し、最大20種類の福祉サービスを活用した例があります。特に医療費助成は、通院頻度が高い乳幼児期の出費を抑えるのに効果的です。 - 実家や友人との支援ネットワークをつくる
出産前から実家や友人と定期的に交流をもち、「頼れる関係」を築いておくことが大切です。週に1回の電話やLINEで近況を共有するだけでも、サポート依頼がしやすくなります。 - 子どもに同性のロールモデルを持たせる
父親不在の場合でも、祖父や叔父、地域の信頼できる大人と接点を持たせると、自己肯定感や生活習慣の形成に効果的です。 - 子育てと両立できる仕事条件を探しておく
在宅勤務や時短勤務が可能な職場を事前に調べておくことで、経済的な安定を保ちながら育児ができます。 - 教育方針は「完璧より柔軟」に設定する
シングルマザーの先輩は、「全てを与えるより、自分で選ばせる経験を重視」する方針を採用。経済的制約の中でも、子どもの自立心を育てることができたそうです。
妊娠中の離婚リスクは、制度や環境だけでは変わりません。
パートナーと一緒に気持ちや生活を整えていくことが、何よりの予防策です。

今日の話し合いが、出産後も、そして10年先も、同じ方向を見て歩ける未来につながりますよ。