喧嘩の多い夫婦の離婚率、実は1.20/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約81.4%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約6.8倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
喧嘩の多い夫婦の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①「喧嘩の多い夫婦」とは?対象層の定義
ここでいう「喧嘩の多い夫婦」とは、週に1回以上ケンカをしている夫婦のことを指します。
これは、以下の研究結果に基づいて定義しました。
- アメリカのNational Marriage Project(2015年)では、週1回以上ケンカをする夫婦の離婚リスクが3倍以上になると報告。
- 大阪大学社会経済研究所(2016年)の調査によると、「月1回以上激しいケンカをする夫婦」は10年後に32%の確率で離婚する。
こうしたデータから見て、「週1回以上のケンカ」は、夫婦関係が悪化しているサインのひとつとして扱えると考えます。
では、どれくらいの夫婦が「喧嘩の多い」層にあたるのか、推定してみましょう。
②週1回以上喧嘩する夫婦の割合と人数を推定
Benesseの「夫婦喧嘩調査」(2019年)やマイナビの調査によると、週1回以上ケンカをする夫婦の割合は、おおよそ10〜15%の範囲にあるようです。
今回はその中央値である12%を使って計算します。
また、全国の既婚カップル数は約2,735万組です(厚生労働省『国民生活基礎調査(2023年)』)。
2,735万組 × 12% = 約328万組
つまり、全国には約328万組の「週1回以上ケンカする夫婦」が存在していると推定されます。
③調査結果と仮定に基づいた年間離婚確率と件数
大阪大学の調査(2016年)によれば、「月1回以上激しいケンカをする夫婦」の10年後の離婚率は32%でした。
これを1年あたりに換算すると、
年率 = 1 − (1 − 0.32)^(1/10) ≒ 3.77%/年
この式から、喧嘩の多い夫婦の年間離婚確率はおよそ3.77%と推定されます。
これをもとに、年間の離婚件数を求めてみましょう。
328万組 × 3.77% = 約123,600件
④喧嘩の多い夫婦の離婚率と全国平均との比較
推定によると、「喧嘩の多い夫婦」層の離婚は、年間でおよそ123,600件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
123,600 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.99/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、「喧嘩の多い夫婦」層の離婚率は、全国平均のおよそ65%を占めているんですね。
また、年間149,556件という離婚件数は、1日あたりに換算すると…
123,600 ÷ 365 ≒ 約339組/日

つまり、毎日約339組の「喧嘩の多い夫婦」が離婚していることになるんです。
SNSと検索トレンドから見えた喧嘩離婚のリアル
①SNS投稿にあふれる「もう限界」の声
「喧嘩の多い夫婦」に関するSNS投稿を調べたところ、75件中44件(58.7%)がネガティブな感情を含んでいました。
とくに目立ったのは、「精神的にしんどい」「無視されている」「ずっと冷戦状態」といった投稿です。
「もう限界」「何日も口をきかない」など、心がすれ違ったまま、時間だけが過ぎていく様子が分かります。
ケンカの原因として多かったのは、「お金の使い方の違い」「育児の負担」「義実家との関係」など、暮らしに深く関わるテーマばかり。
さらに、「夫が親の言いなり」「謝ってくれない」など、夫婦間の力のバランスが偏っているケースも散見されました。
こうした声を見ると、「喧嘩の多さ=性格の不一致」という単純な話ではなく、長く積もったストレスや心の孤立といった「関係性疲れ」が、背景にあることが分かります。
この傾向をふまえ、離婚リスクに対する補正係数は平均値(1.0)に対して+10%の1.1を設定しました。
中立的な投稿も30%近くあったため、極端な補正は避けつつ、現実的な数値としています。
②Googleトレンドで判明した夫婦喧嘩への関心度
Googleトレンドで「夫婦 喧嘩」の検索動向を調べたところ、2004年以降ゆるやかに関心が高まり、2015年〜2019年にかけてピークを迎えたあとも、安定した検索数を維持しています。
このテーマは年中を通して検索されており、「夫婦関係のつまずき」は普遍的な関心事のようです。
注目したいのは、「夫婦 喧嘩 無視」や「夫婦 喧嘩 離婚」といった複合キーワードの動き。
なかでも「無視」は2015年前後に検索数が急増し、今も根強い関心があることが分かりました。
地域別で見ると、都市部(大阪・愛知)だけでなく、佐賀や香川など一部地方でも関心が高く、とくに九州(沖縄・熊本・佐賀)では、「夫婦 喧嘩」の検索スコアが全国でもトップクラスでした。
この背景には、家族観や地域のつながり方といった文化的要素もあると考えられます。
こうした検索傾向から、検索トレンド補正は+10%(1.1倍)と設定しました。
過剰な補正は避けつつ、安定した関心の高さを反映した調整です。
③SNSと検索を掛け合わせて見えた喧嘩の多い夫婦の実態
ここまでで設定したSNS補正係数1.1と、検索トレンド補正係数1.1を掛け合わせます。
1.1 × 1.1 = 1.21
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:123,600件 × 1.21 ≒ 149,556件
年間離婚確率:149,556 ÷ 3,280,000 ≒ 4.57%/年
離婚率:149,556 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 1.20/1000人
また、1日あたりにすると…
149,556 ÷ 365 ≒ 約410組/日
つまり、毎日およそ410組の夫婦が「繰り返すケンカ」を理由に関係を終わらせている、ということなんですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のうち、約81.4%を占めています。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「喧嘩の多い夫婦」層は約6.8倍のリスクがあるというわけです。
このままだとどうなる?喧嘩の多い夫婦の未来予測
①改善が進めば離婚件数は約9.1万件減少?ポジティブな未来とは
まずは、夫婦向けの支援制度やカウンセリングが広がり、家庭のコミュニケーション改善が進むような、前向きな未来から想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率4.57%から、毎年0.15ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
4.57% − (0.15 × 10) = 3.07%
この3.07%の離婚確率を、該当する「喧嘩の多い夫婦」層(328万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:328万組 × 3.07% = 約100,696件/年
離婚率:100,696 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.81/1000人
1日あたりで見れば、100,696 ÷ 365 ≒ 約276件/日。
ここで注目したいのは、現状(149,556件)から約48,860件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約134組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。

喧嘩の多い夫婦も、支援や行動変化によって、離婚リスクを全国平均にぐっと近づける未来が見えてくるんです。
②関係悪化が進んだ場合、離婚確率は6.57%に?ネガティブシナリオの現実
一方で、夫婦喧嘩に対する支援や理解が進まず、対話不足やストレスが積み重なるような状況が続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.2ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
4.57% + (0.2 × 10) = 6.57%
この6.57%の離婚確率を、同じく該当する「喧嘩の多い夫婦」層(328万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:328万組 × 6.57% ≒ 約215,496件/年
離婚率:215,496 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 1.72/1000人
1日あたりでは、215,496 ÷ 365 ≒ 約590件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の補正後数値(149,556件/年)と比較すると、1年で約65,940件も多くなり、10年で65万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、6.57%は約9.8倍に相当。

喧嘩の多い夫婦層が、いかに深刻な離婚リスクを抱えているかが分かります。
③10年後に広がる夫婦の格差と、今日から始められる対策
ポジティブな未来(3.3%)とネガティブな未来(6.57%)を比べると、たった10年で3.27ポイント=約2倍もの離婚確率の差が生まれます。
離婚率で見れば、0.26/1000人 vs 1.72/1000人。
年間の離婚件数では、なんと約108,240件(215,496件−107,256件)もの違いになります。
この差は、「私たちが今、どう動くか」で変えられる未来だということです。
実際にネット上では、家庭で工夫しながら喧嘩を乗り越えようとする声も多く見られます。
- 「感情の整理」をルール化した家庭
ケンカがエスカレートしやすかった夫婦が、「感情が高ぶったら30分離れてクールダウン」というルールを決めたことで、冷静な話し合いが増えたそうです。 - 「感謝を1日1回伝える」仕組みづくり
毎晩「今日ありがとうと思ったことをひとつ伝える」習慣を始めた夫婦では、相手に優しくなれたという声がありました。 - 「子どもに見せたくない言動リスト」の共有
「怒鳴る・無視する」など見せたくない行動を冷蔵庫に貼って可視化し、お互いの意識を高めた家庭もあります。 - 「第3者相談」の日を事前にスケジュールする
「ケンカになりそうなことは月1で専門家に聞く日を決めている」といった家庭も。気持ちの逃げ道ができ、衝突を防げたそうです。 - 「夫婦連絡ノート」をLINE代わりに導入
アナログな連絡ノートで、感謝や用件を手書きで伝えるスタイルに変えた結果、感情のすれ違いが減ったというケースもあります。 - ⑥「定期的な夫婦会議」で言いにくい話を可視化
月1回、議題をリストアップして夫婦会議を開くことで、冷静に話し合えるようになったという実例もあります。
喧嘩の多さは、相手への不満だけじゃなく、「分かり合いたい」という強い気持ちの裏返しなのかもしれません。
ほんの少し視点を変えるだけで、言葉が攻撃から対話に変わることもあります。

あなたの10年後は、今日の喧嘩への向き合い方で変えられますよ。