週末婚の離婚率、実は0.033/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約2.2%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約3.03倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
週末婚の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①週末婚とは?対象夫婦の定義
週末婚とは、「平日は別々に暮らし、週末になると一緒に過ごす夫婦のスタイル」を指します。
法律上の定義はまだ整っていませんが、仕事や地理的な事情で意図的に平日の別居・週末の同居を選んでいる点がポイントです。
今回の分析では、週末婚の夫婦がどれくらいいて、離婚のリスクがどのくらいあるのかを見ていきます。
②全国に週末婚夫婦は何組いる?割合を推定
全国にどれくらい週末婚の夫婦がいるのかは、まず2段階で推定してみます。
まず1つ目は、「別居婚」の割合。
内閣府の調査(2018年)では、既婚者のうち約2.1%が別居婚に該当するとされています(単身赴任を除く)。
次に、その中で「週末婚」に該当する割合を考えます。
これは公的データはありませんが、
金沢大学ダイバーシティ推進機構「パートナーとの同居・別居実態調査」(2023年)によると、別居理由で最多は転勤・異動(33%)で、「休日のみ同居」「週末に通う」等の実態が確認できました。
この調査を参考に、別居婚のうち「週末婚」は約35%と仮定すると...
2.1% × 35% = 0.735%
これを、既婚カップルの総数は2,735万組(厚生労働省『国民生活基礎調査 2023年』)に当てはめると...
2,735万組 × 0.735% ≒ 約201,023組
つまり、全国でおよそ20万組の夫婦が、週末婚という生活スタイルを選んでいると考えられます。
③仮定とデータから導く週末婚の年間離婚確率と件数
ここからは、週末婚における離婚の確率と件数を見ていきましょう。
まず、一般的な夫婦が10年間で離婚する割合は14.5%と仮定します(年間離婚確率0.67%が10年間続いた場合の累積)。
また、日本家族社会学会(2019年)の調査では、「別居婚になってから5年以内に離婚する確率は、同居婚の1.8倍」というデータが。
週末婚は別居婚の一種ですが、仕事などの都合によることが多いため、別居婚の全体よりはリスクが低いと考えられます。
そのため、一般世帯よりも約1.4倍のリスクと仮定しました。
この仮定に基づいて、10年累積の離婚率は...
14.5% × 1.4 = 20.3%
これを年間ベースに直すと...
r = 1 − (1 − 0.203)^(1/10) ≒ 年間2.24%
これを週末婚の夫婦数に当てはめると...
201,023組 × 2.24% ≒ 約4,503件/年
④週末婚の離婚率は本当に高い?全国平均との比較
推定によると、週末婚層の離婚は年間でおよそ4,503件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
4,503 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.036/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、週末婚層の離婚率は、全国平均の約2.4%を占めている計算になります。
また、年間4,503件という離婚件数は、1日あたりに換算すると、
4,503 ÷ 365 ≒ 約12.3組/日
つまり、毎日12組ほどの週末婚夫婦が離婚していることになります。

既婚層全体の年間離婚確率(0.67%)と比べると、週末婚層の年間離婚確率は2.24%で約3.34倍の離婚リスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた週末婚と離婚の実態
①「孤独」「快適」...SNSで見られた週末婚への賛否の声
SNSで週末婚に関する投稿を分析した結果、ポジティブな意見が161件、ネガティブなものが96件、中立は228件となっていました。
なかでも好意的な声として多かったのは、「ちょうどいい距離感が心地いい」「1人の時間が保てる」「喧嘩が減る」といった、精神的な快適さを挙げるものでした。
一方、ネガティブな投稿では、「育児がワンオペになりやすい」「生活費の分担が不透明」「寂しさや浮気への不安」といった、生活面でのすれ違いが目立ちます。
つまり、週末婚は自由さの反面、孤独や分担の難しさといった課題も抱えていることが分かりますね。
全体としてはポジティブ優勢であるため、離婚リスクは低めと判断し、SNS補正係数はやや低めに0.823と設定しました。
②Googleトレンドで見る週末婚と離婚の関心推移
Googleトレンドでは、「週末婚 離婚」というキーワードが、2017年後半に急上昇し、2023〜2024年にも複数回スパイクを記録しています。
これは、週末婚という暮らし方が広まり、その後に離婚リスクを意識する段階に入ったことを示しています。
さらに、「週末婚 子供」といった関連キーワードも同時期に関心が高まっており、育児への影響が現実的な問題として捉えられているようです。
こうした検索傾向から、「週末婚=離婚のリスク」と捉える層が増えてきていると推測できます。
そこで、検索動向に基づく離婚リスクは高いと判断し、検索トレンドの補正係数はやや高めに1.104と設定しました。
③SNS投稿と検索データを掛け合わせて見えた週末婚の離婚リスク
ここまでで設定したSNS補正係数0.823と、検索トレンド補正係数1.104を掛け合わせます。
0.823 × 1.104 = 0.908
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:4,503件 × 0.908 ≒ 約4,089件
年間離婚確率:4,089 ÷ 201,023 ≒ 約2.03%/年
離婚率:4,089 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約0.033/1000人
そして、1日あたりに直すと…
4,089 ÷ 365 ≒ 約11.2組/日
つまり、毎日およそ11組の夫婦が、週末婚から離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ2.2%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、週末婚層は約3.03倍の離婚リスクがあるんです。
今後、週末婚夫婦の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚件数が半減?支援と夫婦間の工夫が広がった未来
まずは、週末婚の家庭向けに支援手当や家事・育児の外部サービス補助が増えたとします。
また、夫婦が予定をアプリで共有したり、定期的に話す習慣が定着し、家族としての結びつきを保ちやすくなった未来を想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率2.03%から、毎年0.10ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.03% − (0.10 × 10) = 1.03%
この1.03%の離婚確率を、該当する週末婚世帯数(201,000組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:201,000組 × 1.03% = 約2,070件/年
離婚率:2,070 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.0166/1000人
1日あたりで見れば、約5.7件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(4,089件/年)から約2,019件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約5.5組の夫婦が、離婚を回避できる計算になります。

支援の増加や平日の距離を補う工夫が、夫婦の絆を強くすることができるんですね。
②離婚確率が3%超に?支援不足や夫婦のすれ違いによる悪化シナリオ
一方で、週末婚の家庭に対する支援が進まず、平日は「ほとんど連絡なし」、週末も「スマホばかり」で過ごすのが当たり前になったらどうでしょう。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.10ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.03% + (0.10 × 10) = 3.03%
この3.03%の離婚確率を、同じく該当する週末婚世帯数(201,000組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:201,000組 × 3.03% = 約6,111件/年
離婚率:6,111 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.0489/1000人
1日あたりでは、約16.7件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の補正後数値(4,089件/年)と比較すると、1年で約2,022件も多くなり、10年で2万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、3.03%は約4.52倍に相当。

週末にしか会えないからこそ、家族としての結びつきを意識しないと、心まで離れてしまう未来もあり得るんです。
③ 10年後、週末婚に何が起こる?離婚率と満足度の差を比較
ポジティブな未来(1.03%)とネガティブな未来(3.03%)を比べると、たった10年で約2ポイント=約2.94倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.0166/1000人 vs 0.0489/1000人。
年間離婚件数では2,070件と6,111件という、なんと約4,041件もの違いが生まれます。
この差は、制度だけではなく夫婦間の意識の差によるものです。
実際にネット上では、以下のような工夫をしている週末婚夫婦の声が見られました。
- 夫婦の予定を日記形式で共有する
ある家庭では、LINEのノート機能で週ごとにお互いの生活を振り返る日記交換を実施。予定だけでなく感情も伝え合えることで、物理的な距離を感じにくくなったそうです。 - 浮気リスクを見越して連絡ルールを決める
週末しか会えないことで浮気の心配を感じていた家庭では、「毎週水曜の夜にビデオ通話」「飲み会のあとに一言メッセージ」など、小さなルールを決めたことで信頼感が深まりました。 - 家族の実感を育てる工夫を取り入れる
ある夫婦は「毎月1日は家族ミーティング」と決めて、お互いの将来や不安をじっくり話す時間を作っています。形式的な会話ではなく、家庭のビジョンを共有する習慣が定着したそうです。 - 週末限定の特別な時間をつくる
ある家庭では「土曜は一緒にごはんを作る」「日曜の夜は2人で映画を観る」など、週末の共通イベントを大切にしています。こういった積み重ねで、一緒にいる意味を再確認することができるんです。 - 同じ悩みを持つ人との情報交換をする
自衛官や単身赴任中の家庭では、「同じような生活をしている人」の声が支えになったという声も。孤立を防ぐには、共感できる相手とのつながりが必要です。 - 理由がある生活であることを確認し合う
離れて暮らす理由をあえて言葉にすることで、ある夫婦は「信頼があるからこの形を選んでいる」と再認識し、すれ違いがぐっと減ったそうです。
週末婚は、自由と不安が背中合わせの生活スタイルです。
でも、日々の小さな工夫で大きな違いが生まれるもの。

10年後の夫婦の姿は、平日の繋がりや週末をどう過ごすかで変えられるかもしれません。