親の敷地に別棟を建てて暮らす敷地内同居は、離婚しやすいのでしょうか?
結論から言うと、敷地内同居の夫婦が1年のうちに離婚する確率は0.966%でした。
全国の夫婦の平均が0.666%なので、その1.45倍です。
この確率が10年続いたとすると9.25%になり、およそ10組に1組が離婚する計算です。
以下で詳細について解説していきます。
敷地内同居の離婚率は公的には出されていない
どちらの親の敷地に住むと離婚しやすいのか
どちらの親の敷地かで分けると、夫の親と暮らす世帯が1,805,975、妻の親と暮らす世帯が608,370で、夫の親側がおよそ3倍でした(出典:総務省 令和2年国勢調査)。
これを調査したデータは、国の統計にも大学の研究にもありませんでした。
敷地内同居は統計では別世帯になる
国勢調査では、住居と生計を共にする人の集まりを1つの世帯として数えます(出典:総務省統計局)。
家が別で生計も別なら、同じ敷地にいても親とは別の世帯です。
敷地内同居の夫婦は、親と同居している世帯にも、親と離れて暮らす世帯にも入りません。
だから公的な統計では、敷地内同居の離婚率を算出していません。
公的なデータから推定した敷地内同居の離婚率
全国平均は夫婦1万組のうち66.6組が離婚
敷地内同居の離婚率を計算する前に、まずは全国平均を見てみましょう。
1年間の離婚件数は179,073組でした(出典:厚生労働省 令和7年 人口動態統計)。
夫婦のいる世帯は26,870,338世帯です(出典:総務省 令和7年国勢調査)。
離婚の件数を夫婦の数で割ると、
179,073 ÷ 26,870,338 ≒ 0.666%
つまり、150組に1組が離婚する計算です。
夫婦1万組で言うと、1年で離婚するのは66.6組にあたります。
ここで言う離婚率は1年あたりの割合で、一生のうちの割合とは別です。
親族とのトラブルによる離婚は4.6組
この66.6組のうち、親族とのトラブルが理由の離婚はどれくらいあるのでしょうか?
家庭裁判所へ夫婦の問題を申し立てた人は57,491人で、そのうち4,000人が家族親族と折り合いが悪いことを動機に挙げていました(出典:最高裁判所 令和7年 司法統計年報 家事編 第19表)。
割合にすると6.96%です。
残りの93.04%は、性格の不一致やお金の問題など、親族とは関係のない動機でした。
このデータは調停や審判まで進んだ人を集めたもので、離婚だけではなく関係を戻したいという申し立ても入っています。
動機は1人につき3つまで挙げられます。
それでも、離婚の動機の割合としては、概ね実態に近い数字だと考えられます。
先ほどの66.6組にこの6.96%を当てはめると、4.6組が親族との折り合いを動機にした離婚です。
全国平均の夫婦のうち、残りの62.0組は、暮らし方に関係なく起こる離婚にあたります。
親と同じ家で暮らす夫婦は870組
親族間のトラブルから起きる離婚は、親と離れて暮らす夫婦にはあまり起こりません。
問題が起きるのは、親と同じ家で暮らす夫婦のほうです。
親と同じ家で暮らす夫婦は2,442,420世帯で、令和2年の夫婦のいる世帯全体の8.70%にあたります(出典:総務省 令和2年国勢調査)。
夫婦1万組で言うと、870組が親と同じ家で暮らしています。
敷地内同居はこの8.70%には入りませんが、まずは参考として、親と同じ家で暮らす870組の中で、先ほどの4.6組がどれくらいの割合にあたるかを見てみます。
4.6 ÷ 870 ≒ 0.53%
親と同じ家で暮らす夫婦のうち、親族とのトラブルが理由で離婚する夫婦の割合は0.53%ということです。
ここでは、夫婦1万組がすべて親と同じ家で暮らすと仮定してみます。
この場合、0.53%を当てはめると、53組が親族とのトラブルで離婚する計算です。
敷地内同居は家が別なので、親と同じ家で暮らす場合の53組を、そのまま敷地内同居の数字として使うことはできません。
19件の投稿から敷地内同居は96.6組が離婚
そこで、発言小町・Yahoo!知恵袋・ママリ・アメブロ・相談サイトに寄せられた、敷地内同居についての相談や体験談を19件集めました。
その中から、離婚を考えた理由と同居をためらった理由を以下の表にまとめました。
また、その理由が家を分けたら解消されるかも分類しました。
1件が1人分です。
| 理由 | 件数 | 家を分けたら解消されるか |
|---|---|---|
| 親族の出入り・鉢合わせ・見られている感覚 | 4件 | されない |
| 配偶者が問題を自分ごとにしない | 2件 | されない |
| 結婚前の同居条件・土地を守る圧力 | 2件 | されない |
| 通勤・土地代・相続の制約 | 2件 | されない |
| 家事・育児・介護の負担が寄る | 1件 | 半分だけされる |
| 完全同居の記憶からくる恐怖 | 1件 | される |
| 同居してよかった・摩擦の報告なし | 7件 | ― |
最も多かったのは、親族の予告のない出入りです。
相談サイトには、こんな投稿が寄せられていました。
朝は6時前からピンポンがなり
玄関の鍵をかけると怒られます
家を分けても解消されない理由は、およそ3分の2を占めています。
先ほどの計算では親と同じ家で暮らす夫婦のうち、親族とのトラブルが理由で離婚する夫婦は53組だったので、敷地内同居の夫婦数は
53組 × 65.3% ≒ 34.6組
ただ、34.6組は、親族とのトラブルが理由の離婚だけの数字なので、これだけだと性格の不一致やお金の問題で離婚する敷地内同居の夫婦が入ってません。
そのため、先ほど計算した性格の不一致やお金の問題で離婚する夫婦の数62.0組を足します。
この62.0組は、もともと全国すべての夫婦から出した数字で、敷地内同居の夫婦もその中に含まれます。
だから、敷地内同居の夫婦の離婚は、この62.0組と、先ほど出した34.6組を合わせたものです。
62.0組と34.6組を足すと、あわせて96.6組です。
夫婦1万組のうち96.6組ですから、敷地内同居の夫婦が1年のうちに離婚する確率は0.966%で、およそ100組に1組にあたります。
全国平均の66.6組と比べると、
96.6 ÷ 66.6 ≒ 1.45
つまり、敷地内同居の夫婦が離婚する確率は、全国平均の1.45倍ということです。
この確率が10年続いたとすると9.25%になり、およそ10組に1組が離婚する計算です。
敷地内同居と完全同居の差は16%
敷地内同居の1.45倍は、家を分けても解消されない理由がおよそ3分の2という数字から出しています。
この3分の2が変われば倍率も変わります。
ここで参考になるのが、二世帯住宅の調査です。
二世帯住宅は敷地内同居とは別の住まいの形ですが、親との距離の近さという点では似ているので、目安として見てみます。
完全分離型の二世帯住宅を扱う住宅メーカーの調査によると、建物を分けた二世帯住宅で暮らす人の同居満足度は93.6%、一体になって暮らす人では66.3%でした(出典:旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所 2017年)。
不満を持つ人で見ると33.7%から6.4%になっていて、同居による摩擦は5分の1近くまで減っています。
この調査のとおりなら、敷地内同居の離婚率は1.08倍まで下がります。
ただし、二世帯住宅を売り込みたい会社が自社の顧客に聞いた調査なので、その点は注意が必要です。
反対に、家を分けても先ほど挙げたような問題がそのまま残るなら、完全同居と同じ1.73倍です。
敷地内同居の1.45倍を出した計算を、他の暮らし方にも当てはめてみます。
| 暮らし方 | 1年間の離婚率 | 全国平均との比 |
|---|---|---|
| 親と離れて暮らす | 0.620% | 0.93倍 |
| 全国平均 | 0.666% | 1.00倍 |
| 敷地内同居 | 0.966% | 1.45倍 |
| 同じ家での完全同居 | 1.15% | 1.73倍 |
意外だったのは、完全同居と敷地内同居の離婚確率が近いということ。
完全同居の1.73倍を基準にして差を求めると、
(1.73 − 1.45) ÷ 1.73 ≒ 16%
つまり、敷地内同居は完全同居より16%低いだけです。
ちなみに、義両親との完全同居や、妻の実家に住むマスオさん状態の離婚率は、それぞれ以下の記事で解説しています。
敷地内同居で生活の境界線が引けなくなる理由
義両親だけでなく義姉妹も予告なく出入りしてくる
敷地内同居の経験者からは、訪ねてくるのは義両親だけではなく、同居していない義妹や義姉が頻繁に出入りするという声がいくつかありました。
出かけたことがすぐ分かる。
予告なく訪ねてくる。
夜に子どもが騒げば、音が聞こえていないか気になる。
家は別なのに、生活への干渉があります。
敷地内同居の相談に対して、「建物が別なら隣に住んでいるのと同じだから気にしなければいい」という返答をよく見かけます。
それに対して当事者からは以下の意見が。
敷地内とはいえ妻からしたら常に監視の下にいると思われても仕方ないです。完全同居じゃないんだから、と思いたいでしょうが別物です
つまり、完全同居ではないのだから我慢できるはず、という理屈と、実際に見張られていると感じることは別だということ。
隣に住んでいる人は、普通は合鍵を持っていませんし、断りなく庭に入ってきたりもしませんよね。
これが、ただの隣人と親族との敷地内同居の違いです。
また、敷地内同居でも義実家からの干渉が完全にはなくならないことが、完全同居の離婚率と16%しか変わらない理由だと考えられます。
離婚を考えるきっかけは義実家より配偶者側にある
離婚まで考えていた人たちに共通していたのは、自分の実家の問題について配偶者がちゃんと対応してくれなかったことでした。
困っていると伝えても、言っても無駄だからと親に何も言ってくれない。
敷地内同居そのものが嫌なのではなく、つらさを理解してくれない相手に失望して離婚を考えるのでしょう。
敷地内同居で決めておきたい暮らしのルール
敷地内同居にもメリットはあります。
土地を買わずに家を建てられますし、親に何かあったときすぐ気づけます。
厄介なのは、お互いの生活に踏み込みすぎてしまうことです。
そのため、大切なのは暮らしのルールを決めるということ。
実家に頼みごとをするのは実の息子・娘側
実家に何か頼むときは、結婚で入ってきた側がすると角が立ちますし、断られたとき逃げ場がありません。
窓口になるのは、実の息子・娘側です。
つまり、配偶者がきちんと実家のことに対応してくれれば、離婚まで至ることはないんです。
来る前に一声かけるルールを作る
合鍵を渡すのか。
訪ねる前に連絡を入れるのか。
住み始めるときに決めておきます。
意外にも重要なのは、義実家と同居していない親族にもこのルールを守ってもらうことです。
これから敷地内同居を始めるなら決めておくこと
特に悩みやすいのが、義実家とどんな付き合い方をしていくかです。
顔を合わせる頻度、食事、子どもの世話をどこまで頼むか。
住み始める前に話しておくと、後から揉めにくくなります。
敷地内同居で助かっているという経験者もいます。
急な仕事や通院のときは、子どもを預かってくれるので凄くありがたいです
それでも折り合いがつかないこともあります。
状況によっては敷地内同居をやめるという選択も大切ですよ。

