看護師の離婚率、実は0.044/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約3.0%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約1.21倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
看護師の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①看護師家庭とは?対象となる夫婦の定義
ここでは、「夫婦のどちらかが看護師として働いている家庭」を対象に、離婚の確率を見ていきます。
つまり、夫でも妻でもいずれか一方が看護師であれば対象です。
②看護師が配偶者にいる世帯の割合はどれくらい?
次に、実際にどれくらい「配偶者が看護師の家庭」があるのか、数を推定してみましょう。
- 厚労省の統計によると、2022年時点で現役で働いている看護師は約104万9,800人(出典:厚生労働省『衛生行政報告例(令和4年)』)。
- そのうち、既婚者の割合はおよそ65.6%とする調査があります(出典:厚生労働省『看護職員就業状況等実態調査』(2010年度))。
この割合をあてはめると、既婚看護師は約68万8,669人となります。
ただし、このなかには「夫婦どちらも看護師」という家庭も含まれており、世帯数としては重複してカウントされてしまいます。
そこで、看護師同士の夫婦が全体の3%と仮定し、その分を調整すると...
688,669人 -(0.5 × 3% × 688,669人 = 約10,330人)=67万8,339組
つまり、配偶者が看護師の家庭はおよそ67万8,339組と推定できます。
③データと仮定から推定した年間離婚確率と件数
では、看護師夫婦は1年にどれくらい離婚しているのでしょうか?
全国の既婚世帯が1年間に離婚する確率は、平均で0.67%とされています(出典:厚生労働省『人口動態統計年報(2023年)』より)。
しかし看護師の場合は、夜勤や交代勤務によるすれ違いや、家庭内のストレスの影響が無視できません。
実際、米国の研究でも「不規則な勤務が夫婦関係に与える影響は大きく、離婚リスクが高まる」と報告されています(出典:CDC NIOSH「Fatigue Spillover in Night Shift Workers」2020年)。
こうした研究をふまえ、看護師家庭では「全国平均より20%高い離婚リスク」があると仮定します。
この場合の年間離婚確率は、
0.67% × 1.20(相対リスク)= 約0.804%
つまり、看護師家庭の約0.804%が、1年のうちに離婚していると推定されます。
この確率を先ほどの世帯数(678,339組)にあてはめると、
678,339 × 0.00804 ≒ 約5,454件/年
④ 全国平均と比べて高い?看護師世帯の離婚率を比較
推定によると、看護師家庭の離婚は年間でおよそ5,454件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
5,454 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約0.044/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、看護師家庭の離婚率は、全国平均のおよそ2.9%を占めています。
また、年間5,454件という離婚件数を1日あたりに換算すると、およそ15組近い看護師夫婦が毎日離婚している計算です。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、看護師家庭の離婚確率(0.804%)は約1.2倍のリスク。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた看護師と離婚の実際
①「夜勤で心がすれ違う」SNSで語られる看護師夫婦の声
SNS上で「看護師の夫婦」について投稿を分析したところ、409件中でネガティブな意見が161件、ポジティブな意見が137件ありました。
なかでも目立ったのが、「夜勤で生活がすれ違う」「不規則な勤務で夫婦関係がギクシャクする」「家事や育児の負担が大きい」といった声。
たとえば、「夜勤と育児で疲れ果てて、結婚生活のほうがしんどかった」「看護師と結婚して後悔している」など、かなりリアルな投稿が目立ちました。
看護師という職業ならではの勤務形態が、夫婦のコミュニケーションやすれ違いに影響していることがうかがえます。
とくに「離婚率が高そう」「看護師との結婚は大変」といった投稿は92件と最多で、離婚への不安がにじむ傾向が強く見られました。
一方で、「収入が安定していて頼れる」「感情表現が豊かで安心できる」など、看護師のプラス面を挙げる声も。
全体としてはややネガティブ寄りの印象があるものの、ポジティブな意見も混在しており、SNSの雰囲気としては「不安と期待が混ざっている」といえそうです。
この傾向を反映し、やや高めに1.06という補正係数を設定しました。
②検索関心は地方で高い?Googleトレンドから見えた傾向
Googleトレンドで「看護師 離婚」というキーワードについて分析してみると、特に検索ボリュームが高かったのは、鳥取県・鹿児島県・兵庫県・島根県・宮城県など。どちらかといえば、都市部よりも地方が中心です。
地方では共働きが当たり前になっている一方で、保育や家事サポートが都市部ほど整っていないケースも多く、結婚後の生活に悩む家庭が多いのかもしれません。
さらに、「看護師との結婚」「看護師 離婚率」といった関連キーワードは、2016〜2017年に関心がピークとなり、その後はやや下がりつつも安定した検索数を保っています。
このことから、流行的な話題というよりも、「生活上の現実的な悩み」や「情報を探している人が継続して存在する」ことが分かります。
ただし、SNS投稿に比べて検索トレンドは熱量が控えめなため、やや低めに0.95という補正係数を設定しました。
③SNSと検索を掛け合わせて見えた離婚率の実態
ここまでで設定したSNS補正係数1.06と、検索トレンド補正係数0.95を掛け合わせます。
1.06 × 0.95 = 1.007
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:5,454件 × 1.007 ≒ 5,492件
年間離婚確率:5,492 ÷ 678,339(看護師家庭の数) ≒ 0.810%/年
離婚率:5,492 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.044/1000人
これを1日あたりに直すと…毎日およそ15組もの看護師が、離婚に至っているということになります。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ3.0%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、看護師は約1.21倍の離婚リスクがあるんです。
今後、看護師の離婚率はどうなる?10年後のシナリオ予測
①離婚件数が約2,100件まで減少?夫婦の歩み寄りによる改善シナリオ
まずは、看護師の勤務形態や業務内容を理解した上で、夫婦で予定を共有し合ったり、会話の時間を意識してつくるような家庭が少しずつ増えていく...そんな未来を想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率0.810%から、毎年0.05ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
0.810% − (0.05 × 10) = 0.310%
この0.310%の離婚確率を、該当する看護師家庭(約67.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:678,339組 × 0.310% ≒ 2,103件/年
離婚率:2,103 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.017/1000人
1日あたりで見れば、約6件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(5,492件/年)から約3,390件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり9組の夫婦が、離婚を回避できるんです。

ほんの少しの工夫や対話の積み重ねが、これだけの違いを生む可能性があるんですね。
②離婚確率が1.31%に上昇?すれ違い放置シナリオの未来
一方で、看護師という忙しい職業ゆえに、予定のすり合わせや会話がないまま、生活のすれ違いが「当たり前」になってしまったらどうでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.05ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
0.810% + (0.05 × 10) = 1.310%
この1.310%の離婚確率を、同じく看護師家庭(約67.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:678,339組 × 1.310% ≒ 8,884件/年
離婚率:8,884 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.071/1000人
1日あたりでは、約24件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の補正後数値(5,492件/年)と比較すると、1年で約3,392件も多くなり、10年で約3.4万件の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、1.310%は約1.96倍に相当。

「忙しいから仕方ない」で放置したすれ違いが、10年後にはこれほどの違いを生んでしまう可能性があるんです。
③10年後の差と、今日からできるすれ違い対策とは
ポジティブな未来(0.310%)とネガティブな未来(1.310%)を比べると、たった10年で1.0ポイント=約4.2倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.017/1000人 vs 0.071/1000人。
年間離婚件数では2,103件と8,884件という、なんと約6,781件もの違いです。
この差は、看護師という職業の特性を理解し、どんな工夫をしたかで変わってくるんです。
実際にネット上では、こんな工夫を取り入れている家庭がありました。
- あえて頼る役割を演じてみる
「何でも自分でやっちゃうから、結局ひとりで抱えてしまう」これは、頑張り屋な看護師によくあるパターン。ある家庭では、妻があえて「ちょっとお願いしてもいい?」と声をかけるように。頼られることで、夫の関わり方が前向きになり、自然と協力体制ができていったそうです。 - 予定の見える化で、不満を未然に防ぐ
急な夜勤や残業で、家族との予定がズレてしまうのはよくあること。ある夫婦は、カレンダーアプリで予定を共有。「またいないの?」ではなく「今日は夜勤だね」と、すれ違いを減らせるようになったとのこと。 - 「してほしいこと」ではなく「してくれて嬉しかったこと」を伝える
テキパキ仕事をこなす看護師は、家庭でもパートナーに同じような働きを求めがち。不満を伝えるよりも、感謝の気持ちを伝えることで変わったという家庭も。「ありがとう」と言うだけで、ギスギスした空気がやわらぎ、お互いに余裕が生まれるようになったそうです。 - 家計の見せ方を工夫する
「私のほうが稼いでる」そう思ってしまうと、無意識に相手を下に見てしまうことも。ある女性は、「一緒に家族を支えている」という見方に切り替えるようにしてから、会話のトーンがやわらかくなったと話しています。 - 看護師にしかできない仕事を言葉にする
「今日は急変があって遅くなった」このひと言を添えるだけで、家族の理解は変わってきます。何をして、どんな責任を背負っていたのかを具体的に話すことで、感情的なぶつかりが減ったという家庭もありました。 - QOL(生活の質)を高める自分の日をつくる
他人のQOLは大切にできても、自分のケアはつい後回しにしてしまう。週に1度、美容室やカフェなど好きなことの時間を作った女性は、「心に余裕が生まれた」と語っていました。その余裕は、家庭にも自然と伝わっていったそうです。
看護師は、経済力や資格があるからこそ「一人で生きる力」を持っています。
だからこそ、離婚という選択肢も、現実的に選べてしまう職業です。
けれど本当に大事なのは、「選べるからこそ、一緒にいる価値を見つけられるかどうか」。

看護師としての使命を大切にしながら、自分の人生やパートナーとの関係にも目を向けていきたいですね。