アルコール依存症家庭の離婚率、実は1.52/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約10.3%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約4.8倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
アルコール依存症夫婦の離婚率をフェルミ推定してみた【独自分析】
①アルコール依存症とは?家庭への影響と夫婦の定義
ここで分析の対象とするのは、「夫婦のうち、少なくともどちらか一方がアルコール依存症である世帯」です。
アルコール依存症とは、お酒をやめたいと思ってもやめられず、日常生活や仕事、家庭に支障が出てしまう状態のこと。
家庭内では、暴言や暴力、育児の放棄、家計の悪化などが起きやすくなり、配偶者や子どもが心身ともに追い詰められてしまうケースも少なくありません。
こうした背景から、アルコール依存症のある夫婦は、そうでない家庭と比べて離婚のリスクが高いと考えられます。
②アルコール依存症の夫婦はどれくらい?
まずは、日本にどれくらい「アルコール依存症のある夫婦」がいるのか、ざっくり推定してみましょう。
厚生労働省の調査によると、アルコール依存症の人は全国で約109万人いるとされています(2024年時点、久里浜医療センター調べ)。
このうち、既婚者の割合はおよそ56.8%。
ということは、既婚のアルコール依存症者の人数は、
109万人 × 56.8% = 約61.9万人
ただし、夫婦の両方が依存症であるケースもあります。
そこで重複を差し引いて、95%を実質的な世帯数と仮定すると...
61.9万人 × 0.95 ≒ 約58.8万組
つまり、日本には「夫婦のどちらかがアルコール依存症である家庭」が、およそ58万組存在していると推定されます。
③アルコール依存症夫婦の年間離婚確率と件数
では、その約58万組のうち、1年間に何組が離婚しているのでしょうか。
参考になるのが、アメリカの研究データです。
ある研究(Cranford et al., 2014)によると、アルコール依存症のある夫婦の3年離婚率は15.5%、一方で依存症のない夫婦では4.8%でした。
これを1年あたりの離婚確率に換算すると:
- 依存症あり:1 − (1 − 0.155)^(1/3) ≒ 5.46%
- 依存症なし:1 − (1 − 0.048)^(1/3) ≒ 1.63%
つまり、依存症のある家庭は、ない家庭の約3.36倍の離婚リスクがあるということになります。
この比率を、日本の既婚層の年間離婚確率(0.67%)に当てはめると、
0.67% × 3.36 ≒ 約2.25%
つまり、「少なくとも一方が依存症のある夫婦」では、1年あたり約2.25%が離婚していると考えられます。
つまり、アルコール依存症夫婦(58.8万組)のうち、毎年離婚に至るのは、
58.8万組 × 2.25% ≒ 約13,230組/年
④全国平均と比べて何倍?驚きの離婚リスク差
推定によると、アルコール依存症のある夫婦の離婚は年間でおよそ13,200件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
13,200 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.106/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、アルコール依存症家庭の離婚率は、全国平均のおよそ7%を占めているんですね。
また、年間13,200件という離婚件数は、1日あたりに換算すると、およそ36組の夫婦が離婚している計算になります。
さらに、全国の夫婦の平均的な離婚確率(0.67%)と比べると、アルコール依存家庭の離婚確率は2.25%で、なんと約3.4倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索トレンドから見えたアルコール依存症と離婚の実態
①SNSにあふれる「怒り」「諦め」「限界」の声
SNS上でアルコール依存症に関する投稿510件を分析すると、ネガティブな声が279件と全体の過半数を大きく超えていることがわかります。
「妊娠中も産後も飲み続けていた」「子どもの前で暴れて怖かった」「もう無理、限界」など、日々の不安や恐怖、諦めがにじむ投稿が目立ちます。
特に多かったのが、「夫の飲酒による家庭不和」(186件)。DV、モラハラ、経済的な不安、共依存など、複数の問題が重なっているケースも多く見られました。
一方で、「断酒をきっかけに家庭が再生した」「支援グループで希望を見つけた」など、前向きな声も129件寄せられています。
ただし、「実際に離婚まで至っていなくても、深刻な家庭崩壊リスクが日常に潜んでいる」と言えるでしょう。
そこで、SNSの補正係数はやや高めに1.2に設定しました。
②Googleトレンドから見えた関心度と地域差
Googleトレンドで「アルコール依存症 離婚」「アルコール依存症 家族」といった検索キーワードを調べてみると、
- 「離婚」に関連する検索では、高知県と和歌山県がスコア100と、全国で最も高い関心
- 「家族」に関する検索では、沖縄県や岩手県も高スコア
という結果でした。
こうした差は、地域の報道件数、相談窓口の体制、文化的な飲酒観などが影響していると考えられます。
また、「アルコール依存症 家族」の検索数は、2016年から2019年にかけてピークを迎えたあとも、現在もなおスコア40〜60で安定的に推移しています。
つまり、家族の悩みや対処法について調べ続けている人が常に一定数存在しており、この問題が一時的ではなく、慢性的な関心となっていることが読み取れます。
こうした傾向をふまえ、Googleトレンドの補正係数も、やや高めに1.2に設定しました。
③投稿と検索行動を掛け合わせて見えた離婚率
ここまでで設定したSNS補正係数1.2と、検索トレンド補正係数1.2を掛け合わせます。
1.2 × 1.2 = 1.44
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:13,230件 × 1.44 ≒ 約19,036件
年間離婚確率:19,036 ÷ 588,000組(依存症家庭の数) ≒ 約3.24%/年
離婚率:19,036 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約1.52/1000人
これを1日あたりに直すと…毎日およそ52組ものアルコール依存症夫婦が、離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ10.3%に相当。
既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、アルコール依存症家庭の離婚確率は約4.8倍のリスクがあるんです。
今後アルコール依存症家庭の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚件数が8,000件超減少?支援が広がった場合の未来
まずは、夫婦での通院が一般的になり、断酒支援アプリやオンライン相談が広く普及する、そんな前向きな未来から想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率3.24%から、毎年0.15ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
3.24% − (0.15 × 10) = 1.74%
この1.74%の離婚確率を、該当するアルコール依存症夫婦の総数(58.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:58.8万組 × 1.74% = 約10,231件/年
離婚率:10,231 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.082/1000人
1日あたりで見れば、およそ28件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(19,036件/年)から約8,800件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり24組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。
家族が孤立せずにすむ支援体制と、本人が「治したい」と自覚できる環境づくりが広がれば、別れを選ばなくて済む未来が待っているかもしれません。
②離婚確率が4%超え?支援不足が続いた場合の未来
一方で、依存症を“個人の甘え”と見なす風潮が残り、治療やカウンセリングに通う時間も金銭も確保できない──そんな状況が続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.10ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
3.24% + (0.10 × 10) = 4.24%
この4.24%の離婚確率を、アルコール依存症家庭(58.8万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:58.8万組 × 4.24% = 約24,931件/年
離婚率:24,931 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.199/1000人
1日あたりでは、約68件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(19,036件/年)と比較すると、1年で約5,900件も多くなり、10年で約59,000件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、4.24%は約6.3倍に相当。
「話しても無駄」「助けはどこにもない」、そんな状況が続けば、離婚は唯一の逃げ場になってしまうかもしれません。
③ 10年後の差は約15,000件?家族を守るために今できること
ポジティブな未来(1.74%)とネガティブな未来(4.24%)を比べると、たった10年で約2.5ポイント=約2.4倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.082/1000人 vs 0.199/1000人。
年間離婚件数では10,231件と24,931件という、なんと14,700件もの違いが生まれます。
この差は、依存症を家族で乗り越える体制があるかどうか、そして、具体的な工夫をしたかどうかで変わってくるんです。
実際にネット上では、以下のような工夫をしている夫婦がいました。
- 「断酒は今日1日」を家族で共有する
長期断酒を目指して失敗を繰り返していた夫が、「今日は飲まない」とだけ決めることで断酒が続いたそうです。
その小さな一歩を、家族みんなで毎日確認し合うことで、支え合う習慣ができたという声もありました。 - 飲酒トラブル記録ノートを導入する
旅行中に酩酊してトラブルを起こした妻への苛立ちをきっかけに、夫が記録を取り始めました。
冷静にふり返る中で、飲酒で失った時間が見えるようになり、本人の気づきにもつながったそうです。 - 入浴・育児中の飲酒は即アウトの家庭ルールを設定
子どもをお風呂に入れている最中に酒を買いに出てしまったという出来事をきっかけに、家族内で「この時間に飲んだら即離婚」というルールを話し合って決めた家庭もありました。 - 飲まない生活設計を家族で見直す
酒を我慢できない帰宅ルートや寄り道を避けるために、「通勤経路を変える」「酒を買えない店に行く」など、日々の行動そのものを見直す工夫をしている家庭もありました。 - 断酒会やAAなど自助グループに参加する
匿名で参加できるAAでは、数十年断酒を続けている仲間がたくさんいます。そうした存在が「自分もできるかも」と思えるきっかけになった、という声も複数確認されています。 - 断酒だけでなく減酒外来も視野に入れる
いきなり酒をゼロにするのが難しい場合、少しずつ減らす医療的なアプローチもあります。強い拒否感を和らげ、第一歩を踏み出す支えになったという報告も見られました。 - 診察時の虚偽申告を防ぐ工夫をする
本人が「飲んでません」と医師に嘘をつき、正確な診断が受けられないケースもあります。そこで、家族が同席して状況を説明することで、正しい診察と治療につながった例もあるんです。 - 子どもと自分を守るための実家シェルター活用
暴力や育児放棄が続いた結果、「もう限界」と親に助けを求めた女性は、実家に避難したことで心身の健康を取り戻せ、今後のことを冷静に考えられるようになったそう。依存者から物理的被害がある場合、まずは自分と子どもを守ることが第一優先です。
アルコール依存症は、ただの意志の弱さではなく、れっきとした精神疾患です。
だからこそ、「自分と子どもを守るために距離をとる」のも、「相手と一緒に治療に向き合う」のも、どちらも正しい選択です。
大切なのは、我慢や孤立ではなく、どう生きたいかに正直になること。10年後の家族の姿は、あなたが選ぶその一歩から変わっていきます。