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丙午の離婚率は13.01%!本当に高いのか調査してみた

「丙午の女性は離婚率が高い」という話、聞いたことありますか?

ネット上ではいまだに意見が分かれていて、データで答えを出した記事もほとんどありません。

そこで国勢調査の各歳別データから直接調べてみました。

結論から言うと、

2020年時点で54歳(1966年の丙午世代)の女性のうち、現在離別中の人の割合は13.01%。前後の年と比べてもわずか0.3ポイントしか変わりませんでした。

つまり、世間で言われているほどの大きな差ではなかったというのが答えです。

ここから理由を解説していきます。

丙午世代の離婚率は高いのか変わらないのかどっち?

丙午世代の離婚率について、ネット上の意見は二つに分かれています。

X(旧Twitter)には「丙午の女性は前後10年の世代と比べて離婚率が高い」という投稿があります。

その理由として、

丙午の年は出生数が少なく、同世代の女性の数も他の年より少ない。そのため進学や就職での需給バランスが他の世代と違い、家庭の学歴や経済的な地位が低くなった。その結果、離婚率が上がった

X記事

と書かれていました。

ただ、この説はちょっと変です。

同世代の人数が少ないなら、進学も就職も競争が少なくなるはず。

進学はしやすいし、就職もスムーズに決まりやすく、賃金も高めに出やすい。

学歴や経済的な地位はむしろ上がってもおかしくないんです。

それに、経済的に余裕がない人ほど離婚は難しくなります。

なぜなら、一人で生活していくのが大変だからです。

「経済的な地位が低くなった→だから離婚率が上がった」というのは、つながりとしておかしい。

なので、この説は鵜呑みにしない方がいいでしょう。

一方、Threadsには「丙午世代の離婚率が高い印象は全然ない」という肌感覚の反論もあります。

また、2025年に出版された吉川徹さんの本『ひのえうま 江戸から令和の迷信と日本社会』では、丙午世代の離婚率は他の世代と変わらない、と書かれています。

Yahoo!知恵袋の過去の投稿を見てみると、2009年に 「ひのえうまの女性と結婚すると夫が不幸になるという迷信は本当ですか?」 という質問がありました。

回答には「離婚率が異常に高いのは統計的に明らかだ」と書かれていますが、証拠となるデータのリンクは一切ありません。

ちなみに四柱推命などの占い系サイトでは、「丙午は気が強くて夫婦運に難あり」という解説をよく見かけます。

つまり「離婚率は高い派」「変わらない派」「昔ながらの占いの解釈」と、意見がバラバラなのが現状なんですよね。

なので、ここからは国勢調査の各歳別データから直接答えを出してみましょう。

丙午女性の離婚率は13.01%だった

ちなみにここで使う「離別率(純)」は、いま離別中の(一度結婚して、離婚したあと再婚していない)人の割合を指します。死別は別カウントです。

2020年10月1日時点の54歳女性のデータはこちらです。

100人の結婚経験のある女性がいたら、そのうち13人が現在離別中ということです。

それから再婚した人は有配偶のグループに戻ります。

なので、生涯のうちで一度でも離婚を経験した女性の割合は、この13.01%より少し高くなります。

前後の年と比べてみると0.3ポイントだけ高い

13.01%という数字は、単独で見ても何とも判定しづらいですよね。

そこで前後の年齢の女性についても、同じ計算で離別率(純)を出してみました。

年齢離別率(純)54歳との差
52歳12.71%−0.30pt
53歳12.77%−0.24pt
54歳(丙午中心)13.01%
55歳12.67%−0.34pt
56歳12.54%−0.47pt
57歳12.27%−0.74pt
58歳12.08%−0.93pt
59歳11.78%−1.23pt

丙午中心の54歳が一番高いのは事実です。

前後の年(52歳・53歳・55歳)と比べると、+0.24〜+0.34ポイント

これを「100人中、0.3人多いだけ」と言い換えると、少し印象が変わるのではないでしょうか。

丙午世代の女性100人のうち離婚経験者は約13人

前後の年の女性100人のうちでは約12.7人

その差はわずか0.3人分

正直、ほとんど差がないと言ってもいい程度ですよね。

ちなみに丙午の年は、前の年と比べて出生数が約25%も減りました

通常の年は180万人くらい生まれるのに、1966年は約136万人(いつもの7割ちょっと)しか生まれなかったんです(出典:厚生労働省・人口動態統計 )。

「丙午の女は気性が荒い」という昔からの迷信を気にして、この年に子どもを産むのを控えた夫婦がそれだけ多かったということですね。

つまり、世間が大騒ぎしたほどの迷信なのに、実際の離婚率にはこれっぽっちの差しか出なかったということになります。

丙午男性の離婚率は8.97%で女性ほど高くない

ここまで女性側だけを見てきましたが、男性のデータも出しておきますね。

年齢離別率(純)54歳との差
52歳8.53%−0.44pt
53歳8.65%−0.32pt
54歳(丙午中心)8.97%
55歳8.96%−0.01pt
56歳9.00%+0.03pt
57歳8.92%−0.05pt
58歳8.80%−0.17pt
59歳8.93%−0.04pt

男性(54歳)の離別率は8.97%

下の世代(52歳・53歳)と比べると0.3〜0.4ポイントほど高めですが、上の世代(55歳・56歳)と並べてみると、ほとんど変わらないレベルです。

これを見ると「丙午男性だけがズバ抜けて離婚率が高い」とは言えない数字ですよね。

女性(13.01%)と男性(8.97%)を比べると、女性のほうが約1.45倍高くなっています。

ただ、これも前後の世代(1.41〜1.49倍)とほぼ同じなので、「丙午世代だから特別に男女差が大きい!」というわけではありません。

そもそも日本のデータでは、どの世代も女性のほうが離婚率が高めに出る傾向があります。

なぜかというと、男性のほうが再婚する人が多く、結果的に「現在離婚して独身(離別中)」としてカウントされる人が少なくなるからなんですよね。

男女どちらを見ても、丙午世代だけが離婚率が高いとは言えない結果でした。

計算の仕方で変わる丙午世代の離婚率

吉川徹さんの2025年の本では、「丙午世代の離婚率は他の世代と差がない」と書かれていました。

そこでは離婚率を離死別合算率(離別と死別を足したもの)として扱っていて、年齢も56〜59歳の女性に絞って計算していたようです。

これを国勢調査の同じデータで計算すると、こうなります。

年齢離別率(純)離死別合算率
52歳12.71%12.73%
53歳12.77%13.08%
54歳13.01%13.71%
55歳12.67%13.84%
56歳12.54%14.26%
57歳12.27%14.56%
58歳12.08%15.05%
59歳11.78%15.40%

純粋な離婚率(純離別率)と死別も含めた数字(離死別合算率)は、年齢が上がるにつれて差が開いていきます。

これは年を重ねるほど、死別が増えるからですね。

吉川さんの本にあった56〜59歳の死別も含めた数字を平均すると14.8%ほど。

一方で54歳のみの純粋な離婚率は13.01%

ひとくちに離婚率と言っても、対象の年齢や計算のルールを変えると、異なる数字になるんです。

吉川さんの「丙午世代だけ高くはない」という主張も、決して間違っていません。

しかし、56〜59歳と幅広い範囲で死別も含めてしまうと、純粋な丙午の離婚率ではなくなってしまうんです。

でも逆に、54歳の純粋な離婚だけに絞って見てみると、前後の年より0.24〜0.34pt高いんですよね。

「離婚しやすい!」と言う人と「変わらないよ」と言う人。

正反対の結論が出ているのは、どっちかが嘘をついているわけではありません。

単に、どのデータを使って、どの範囲を切り取ったかが違っていただけなんですね。

0.3ptの差を迷信が原因とするのは無理がある

最後に、丙午世代の女性の+0.24〜+0.34ptという差を、迷信が原因と捉えていいのかを考えます。

離婚率が高い派の意見で一番よく言われているのが、家庭の学歴や収入が低いという説です。

1966年に生まれた女性たちは、世間が迷信を気にして出産を控えるなか、「そんなの気にしない」という親のもとに生まれています。

そういった親たちは、他の世代より学歴が低めだったり、経済的に余裕がない傾向にあると言われています。

その家庭環境が本人の進学率や結婚後の経済面に影響を与え、結果的に離婚率を少し押し上げてしまったんじゃないか…というのがこの説の主張です。

ただ、慶應義塾大学の赤林英夫さんが2007年に発表した論文 「丙午世代のその後 ― 統計から分かること」(日本労働研究雑誌 No.569)を読んでみると、話はそこまで単純ではありません。

論文では、丙午世代の女性は他の世代と比べて労働力率がやや高めに出ている、というデータが紹介されています。

一方で進学率や結婚市場への影響については、はっきりした差は確認できない、というのが論文の主な結論です。

つまり、Xでよく見る「丙午世代の女性は学歴が下がって経済的にも不利」という説は、学術的にしっかり裏付けられているわけではありません。

そして、この説にはもうひとつ問題があります。

仮に丙午世代に多少のハンデがあったとしても、それで説明するには+0.3ポイントという差はあまりに小さすぎるんです。

だって、ほかの世代にも学歴や収入のバラつきは普通にあるわけです。

丙午世代だけが、そのハンデのせいでちょうど+0.3ポイント高くなったんだ、とデータから言い切るのはかなり無理があります。

そもそも、これくらいの差は、統計の世界で意味のある差(有意差)とは見なされないことがほとんどです。

隣り合った年齢どうしの離別率を見ても、±0.1〜±0.5ポイントくらいの上下動はわりと普通に起きます。

今回みたいに60万人規模の大きなデータでも、ゼロにはなりません。

実際、丙午のいる50代女性のデータでも、隣接する年齢どうしの差は次の通りです。

比べた年齢離別率の差
52歳→53歳+0.06pt
53歳→54歳+0.24pt
54歳→55歳−0.34pt
55歳→56歳−0.13pt
56歳→57歳−0.27pt
57歳→58歳−0.19pt
58歳→59歳−0.30pt

たしかに、53歳→54歳と54歳→55歳の差はちょっと目立ちます。

でもほかの年齢間でも、±0.2〜0.3ポイントくらいの上下動はちらほら見られます。

丙午世代以外の年代も同じように調べてみると、上下動の幅はほとんど変わりません。

30代
33→34歳+0.41pt
34→35歳+0.39pt
35→36歳+0.22pt
36→37歳+0.13pt
40代
43→44歳−0.20pt
44→45歳−0.30pt
45→46歳−0.40pt
46→47歳−0.32pt
60代
63→64歳−0.27pt
64→65歳−0.36pt
65→66歳−0.47pt
66→67歳−0.27pt

30代でも40代でも60代でも、隣り合う年齢の差は普通に±0.2〜±0.5ポイント。

丙午世代の+0.3ポイントくらいの差は、年齢のブレとしてはわりとよくある幅です。

それよりは、「わずかな差(+0.3ポイント)がたまたま出た」と考えるほうが、データ全体を見ると納得できます。

たしかに、迷信のせいで出生数が25%も減ったのは事実です。

でも、だからといって「100人中0.3人」というわずかな離婚の差まで迷信のせいにしてしまうのは、ちょっと考えすぎですよね。

  • この記事を書いた人

桑子

ASD傾向のある夫との関係に悩んだ経験から、「離婚率」への関心を持つように。フェルミ推定を使いながら、数字やロジックで不安を少しでも和らげられる情報を発信しています。

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