「休みが合わない夫婦」の離婚率、実は0.52/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約14.7%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約1.74倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
休みが合わない夫婦の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①休みが合わないとは?対象夫婦の定義
ここでいう「休みが合わない夫婦」とは、週に1日も共通の休日がない共働き夫婦のことを指します。
とくに、交代制勤務・週末勤務・長時間労働といった働き方は、夫婦の時間がすれ違い、関係満足度が下がるという研究結果があります。
それを踏まえると、休日がすれ違う共働き夫婦は、生活のリズムそのものがズレやすく、関係が不安定になりやすい層だといえますね。
②共働き世帯のうち、休みが合わない夫婦はどれくらい?
まず、母集団となる共働き世帯の数は約1,278万組です(出典:2023年 総務省「労働力調査」/JILレビューより整理)。
この中で「週に共通の休日がまったくない夫婦」がどのくらいいるかを、フェルミ推定を使って計算します。
基礎データとして、統計局 社会生活基本調査にある土日就業率を見てみると、
【個人の休日状況】
・土曜に働いている人の割合:46%
・日曜に働いている人の割合:30%
このとき、1人の人が「土日どちらも休み(A)」である確率は...
(1 - 0.46) × (1 - 0.30) = 0.378(=37.8%)
では、「土日片方だけ休み(B型)」はどれくらいでしょうか?
これは直接統計で示されていないため、土曜と日曜で就業率に差があることを考慮し、やや保守的に30%と仮定します。
よって、残りの「両日とも出勤している層(C型)」は...
1 − 0.378 − 0.30 = 0.322(=32.2%)
次に、「夫婦のどちらかもしくは両方の休日がズレていて、まったくかぶらない」組み合わせを計算します。
対象となるのは、以下のようなケースです。
- 一方が「土日休み(A)」、もう一方が「完全週末出勤(C)」(A×C型)
- 夫婦ともに「完全週末出勤(C)」だが、休みの曜日がズレているケース(C×C型)※この場合は50%の確率と仮定
0.378 × 0.322 + 0.5 × 0.322²= 約0.1735(=17.35%)
よって、共働き世帯のうち「休みが合わない夫婦」の推定割合はおよそ18%。
これを、日本の夫婦数に当てはめると...
1,278万組 × 0.18 ≈ 約230万組
つまり、日本には230万組もの休みが合わない夫婦がいると推定されます。
③調査結果と仮定から導き出した年間離婚確率と件数
では、「休みが合わない夫婦」の離婚リスクはどれくらい高いのでしょうか?
- White(1990)の研究では、夫婦のどちらかが交代制勤務をしていると、離婚率が通常より57%(1.57倍)も高まる傾向がある。
- Presser(2000)の調査では、深夜勤務で子育て中の家庭ほど、別居や離婚のリスクが高まることが報告。
- Jeong(2019)の韓国におけるパネル調査では、週60時間以上働くケースでは、夫婦関係が悪化しやすく、離婚や別居の確率が上がる。
こうした複数の研究結果を踏まえ、今回はやや高めに相対リスクを1.6と設定しました。
これを全国既婚世帯の年間離婚確率に当てはめると...
0.67% × 1.6 = 1.07%/年
さらに、休みが合わない夫婦の数(約230万組)に、この確率を掛けて年間の離婚件数を求めてみます。
230万組 × 1.07% ≈ 約24,600件/年
④全国平均と比較して何倍?休みが合わない夫婦の離婚率
推定によると、「休みが合わない夫婦」の離婚は、年間でおよそ24,600件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
24,600 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.20/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は 1.52/1000人です。
つまり、「休みが合わない夫婦」層の離婚率は、全国平均の約13.2%を占めているんですね。
また、年間24,600件という件数は、1日あたりに換算すると約67組の夫婦が離婚していることになります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、休みが合わない夫婦の離婚確率は1.07%で、約1.6倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた休みが合わない夫婦と離婚の実態
①「ただの同居人」?SNS投稿で見えた様々な声
SNS上で「休みが合わない夫婦」に関する投稿を分析したところ、ポジティブ投稿238件に対して、ネガティブ投稿は282件とやや上回る結果に。
ネガティブな内容の多くは、「ただの同居人みたい」「会話がまったくない」「育児の負担が一方に偏る」といった、すれ違いや孤独を感じさせる声でした。
一方で、「休みが合わないからこそ、いっしょの時間が貴重に思える」「役割分担でうまくやれている」といったポジティブな声も。
このSNS上の反応のバランスをふまえて、やや高めに1.042という補正係数を設定しました。
②Googleトレンドから見えた日常的な悩みとしての関心度
Googleトレンドを分析してみると、「休みが合わない」という検索キーワードが、2004年以降ずっと安定して検索され続けています。
「夫婦」「ストレス」などの関連語を組み合わせると検索量はやや下がりますが、それでも一過性のブームではなく、継続的な関心があることが分かりました。
これは、交代制勤務や共働きが増えるなかで、休みの調整がずっと続く悩みとして定着している証拠といえそうです。
さらに地域別の傾向を見ると、愛知・福井・佐賀などでは、検索ボリュームがやや高めに出る傾向がありました。
これらの地域では、交代制勤務や週末シフト勤務が比較的多く、家庭内での時間調整の難しさが現実的な課題になっていると考えられます。
こうした傾向から、検索行動による補正係数はやや高めに1.05と設定しました。
③SNSと検索データを掛け合わせて見えた休みが合わない夫婦の真の離婚率
ここまでで設定したSNS補正係数1.042と、検索トレンド補正係数1.05を掛け合わせます。
1.042 × 1.05 = 1.0941
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきましょう。
年間離婚件数:24,600件 × 1.0941 ≒ 26,927件
年間離婚確率:26,927 ÷ 2,303,600(対象となる夫婦数) ≒ 1.17%/年
離婚率(人口1,000人あたり):26,927 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.22/1000人
これを1日あたりに直すと...毎日およそ74組もの休みが合わない夫婦が、離婚に至っているということになります。
また、この件数は、全国の年間離婚件数183,808件のおよそ14.6%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、休みが合わない夫婦は約1.74倍の離婚リスクがあるんです。
今後、休みが合わない夫婦の離婚率はどうなる?10年後の未来シナリオ
①離婚確率が0.67%に減少?すれ違いを埋める努力を続けた未来
まずは、共通の時間がなくてもつながり続ける工夫をする夫婦が増えた未来を考えてみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率1.17%から、毎年0.05ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
1.17% − (0.05 × 10) = 0.67%
この0.67%の離婚確率を、該当する休みが合わない共働き世帯(約230万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:2,303,600組 × 0.67% = 約15,434件/年
離婚率:15,434 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.12/1000人
1日あたりで見れば、約43件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(26,927件/年)から約11,493件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約32組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。

夫婦のすれ違いはゼロにできなくても、「つながろう」とする努力が、未来を変える鍵になるんですね。
②離婚件数が2万件増?すれ違いを放置し続けた未来
一方で、「会わないのが普通」とあきらめ、すれ違いを放置する夫婦が増えたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.10ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
1.17% + (0.10 × 10) = 2.17%
この2.17%の離婚確率を、同じく該当する休みが合わない共働き世帯(約230万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:2,303,600組 × 2.17% = 約49,988件/年
離婚率:49,988 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.40/1000人
1日あたりでは、約137件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(26,927件/年)と比較すると、1年で約23,061件も多くなり、10年で23万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、この2.17%は約3.2倍に相当。

顔を合わせる時間が少ないからこそ、すれ違いと向き合う努力をしないと心もどんどん離れていってしまうんです。
③10年後に生まれる幸福度の差と、今日からできる行動
ポジティブな未来(0.67%)とネガティブな未来(2.17%)を比べると、たった10年で約1.5ポイント=約3.2倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.12/1000人 vs 0.40/1000人。
年間離婚件数では15,434件と49,988件という、なんと34,554件もの違いが生まれます。
この差は、休みが合わない中でも、つながる工夫をしたかどうかで変わるんです。
実際にネット上では、以下のような対策をしている夫婦がいました。
- 予定が合わなくても「帰宅後に5分話す」をルールにする
ある家庭では、お互いの休みが合わない中でも、夜の帰宅後に「その日あったことを5分だけ話す」ことを習慣にしています。このわずかな時間が、気持ちのズレや寂しさの蓄積を防ぐきっかけになっているそうです。 - 有給を交互に取り「月1回だけ休みを合わせる」
ある共働き夫婦では、奇数月は夫、偶数月は妻が有給を取り、月1回は必ず休みを合わせています。この日を「ご褒美の日」と呼び、特別な外出やゆっくり食事する時間にあてているそうです。 - 食事だけは必ず一緒にとる共有ルールをつくる
帰宅時間が合わない夫婦では、「たとえ外で食べてもLINEで乾杯」など、食事を一緒に共有するルールを作っている家庭もあります。一緒に過ごせない時間があっても、「共通のリズム」を感じられることでつながりを保てているとのことです。 - 不安を言葉にするメッセージノートを活用する
ある夫婦では、すれ違いの中で感じたことを、相手に伝えるノートを交互に使っています。直接だと伝えづらいことでも、手書きの文字にすることで素直に本音が届き、喧嘩も減ったといいます。 - 家事スケジュールを見える化して不満を防ぐ
予定が合わない分、家事の偏りがストレスにならないよう、冷蔵庫に家事スケジュール表を貼っている家庭もあります。負担感を見える化することで「ちゃんとやってるのに伝わらない」といった誤解が減ったそうです。
休みが合わない夫婦は、物理的なズレ以上に、心のすれ違いを生みやすくします。
でも、だからこそ、ちょっとした思いやりや習慣が、夫婦の関係をぐっと深めてくれるんです。

すれ違いの毎日の中にも、つながる仕組みを持てた夫婦には、10年後にきっと違う未来が待っているはずです。