結婚一年目の離婚率、実は0.080/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約5.47%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約3.16倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
結婚一年目の離婚率をフェルミ推定してみた【独自分析】
①結婚一年目とは?対象となる夫婦の定義
ここでの「結婚一年目の夫婦」とは、婚姻届を提出してから12か月未満のカップルを指します。
初婚か再婚か、年齢や交際期間の長さは関係ありません。
法律上の結婚をしてから1年経っていなければ、すべてこの一年目に該当します。
②結婚一年目の夫婦がどれくらいいるかを推定
つぎに、結婚一年目の夫婦が、日本にどのくらいいるのかを見ていきましょう。
2023年の婚姻件数は474,717組でした(出典:厚生労働省『人口動態統計』2023年概数)。
同じく2023年時点で、全国の既婚世帯数は約2,735万組とされています(出典:厚生労働省『国民生活基礎調査』)。
このうち「結婚から1年未満の夫婦数」は、基本的に「その年に結婚した夫婦数」と見なせます。
したがって、
474,717組 ÷ 27,350,000組 ≒ 1.73%
つまり、日本の夫婦のうち、およそ1.73%が結婚一年目にあたると推定できます。
③データと仮定で推定する離婚件数と離婚確率
では、「結婚してから1年以内に離婚する夫婦」は、年間でどれくらいいるのでしょうか。
2023年の全国の離婚件数は183,808件でした(出典:厚生労働省『人口動態統計』2023年概数)。
そのうち、「婚姻期間が1年未満」の離婚は、厚労省の『婚姻に関する統計』や法務省の調査、司法統計などによると、約6.0%前後となっています。
今回はこの6.0%という割合を用いて、結婚一年目の離婚件数を推定すると...
183,808件 × 6.0% = 11,028件
続いて、先ほどの結婚一年目の夫婦数(474,717組)に対する離婚確率を計算すると、次のようになります。
離婚確率(%)= 11,028 ÷ 474,717 × 100 ≒ 2.32%
つまり、結婚してから1年未満の夫婦が、同じ年内に離婚する確率はおよそ2.32%ということになります。
④全国平均と比べて何倍?1年目の離婚リスクを検証
推定によると、結婚一年目の離婚は年間でおよそ11,028件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
11,028 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.088/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、結婚一年目の離婚率は、全国平均のおよそ5.8%を占めている計算です。
また、年間11,028件という離婚件数は、1日あたりに換算すると、約30組の夫婦が離婚していることになります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「結婚一年目」層の離婚確率は2.32%で、約3.46倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた結婚一年目と離婚の実際
①SNS上で分かれる「すれ違い」と「感謝」の声
SNS上で「結婚一年目」に関する650件の投稿を分析したところ、ポジティブ182件、ネガティブ149件、中立319件という結果でした。
中でも目立ったのが、「育児や家事の不満」「思いやりのなさ」「価値観のズレ」といったすれ違いに関するネガティブな声です。
特に多かったのは、「夫が家事に参加しない」「気持ちをわかってくれない」といった、お互いへの理解不足を訴える内容でした。
一方、ポジティブな投稿では、「1年経って相手の良さに気づけた」「喧嘩はあったけど乗り越えられた」といった、感謝や成長にまつわるものが中心でした。
注目すべきは、どちらか一方に大きく偏っていない点です。
中立的な投稿が全体の49.1%と半数近くを占め、内容も「記念日の記録」や「暮らしの変化」といった、穏やかな日常を綴ったものが多く見られました。
つまり、「結婚一年目」は離婚リスクが必ずしも高いとは言えない。
こうした落ち着いた傾向から、SNS補正係数はやや低めの0.95と設定しました。
②検索傾向から見える突発的な不安の波
Googleトレンドでは、「結婚 一年 離婚」という検索キーワードの動向を過去20年分チェックしました。
このキーワードは、年間を通じて継続的に検索されているわけではなく、特定の時期にだけ急上昇し、その後すぐに沈静化する動きをしています。
この傾向から見えてくるのは、「離婚したい」と思い詰めた人が、突発的に検索するケースが多いということ。
衝動的な不安の動きが検索にも表れているわけです。
さらに、地域別で見ると、石川県、静岡県、福島県、山梨県、三重県、群馬県、滋賀県、長野県、和歌山県、宮城県、徳島県、富山県、奈良県の13都道府県に集中していました。
つまり、「結婚一年目の不安」は全国的なものというより、地域ごとの環境変化に左右されやすい局所的な検索行動とも言えるわけです。
このような特徴から、Google検索トレンドによる補正係数はやや低めの0.96と設定しました。
③SNSの声と検索行動が示す初年度の壁
ここまでで設定したSNS補正係数0.95と、検索トレンド補正係数0.96を掛け合わせます。
0.95 × 0.96 = 0.912
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:11,028件 × 0.912 ≒ 10,058件
年間離婚確率:10,058 ÷ 474,717 ≒ 2.12%/年
離婚率:10,058 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.080/1000人
これを、1日あたりに直すと…毎日およそ27〜28組もの「結婚一年目の夫婦」が、離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ5.47%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「結婚一年目」層は約3.16倍の離婚リスクがあるんです。
これから結婚一年目の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚件数が2,000件減少?夫婦の歩み寄りが支える未来
まずは、結婚初年度に夫婦がお互いの価値観を尊重し、「週に1回は感謝を伝える」「家事タスクを見える化する」といったことが当たり前になった未来を想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率2.12%から、毎年0.05ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.12% − (0.05 × 10) = 1.62%
この1.62%の離婚確率を、該当する「結婚一年目」層(約47.5万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:474,717組 × 1.62% = 約7,689件/年
離婚率:7,689 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.061/1000人
1日あたりで見れば、約21件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(10,058件/年)から、約2,369件もの離婚が削減できるということ。
つまり、1日あたり6〜7組の夫婦が、離婚を回避できる計算になります。

価値観のすり合わせや感謝の積み重ねが、10年後の関係を大きく変える可能性があります。
②離婚確率が2.4%超に?すれ違いが続いた未来
一方、夫婦の歩み寄りや会話が減り、「言わなくても分かるはず」という思い込みが積み重なり、すれ違いが深まっていくような未来はどうでしょう。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.03ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.12% + (0.03 × 10) = 2.42%
この2.42%の離婚確率を、同じく該当する「結婚一年目」層(約47.5万組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:474,717組 × 2.42% = 約11,486件/年
離婚率:11,486 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.092/1000人
1日あたりでは、約31件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(10,058件/年)と比較すると、1年で約1,428件も多くなり、10年で14,280件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、2.42%は約3.6倍に相当。

小さなすれ違いを放置し続けることで、離婚という選択をしてしまう...そんな未来も、現実になり得るのです。
③未来の差は日常の努力で決まる?今日からできる小さな工夫
ポジティブな未来(1.62%)とネガティブな未来(2.42%)を比べると、たった10年で約0.8ポイント=約1.5倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.061/1000人 vs 0.092/1000人。
年間離婚件数では7,689件と11,486件という、なんと3,797件もの違いが生まれます。
この差は、「言わなくても伝わる」と思っていることでも、「あえて言葉にする努力」をしたかどうかで変わるんです。
実際にネット上では、以下のような工夫をしている夫婦がいました。
- 「結婚したから察してくれる」ではなく言葉にする習慣を付ける
多くの家庭では「結婚したんだから、いちいち言わなくてもわかるでしょ」が原因で溝が深まったという声が目立ちました。 ある夫婦は、ありがとうやごめんを言わなくなったことで距離が広がったと気づき、「結婚したからこそ丁寧な言葉を使う」ことをルールにしたそうです。 それ以来、些細な衝突が減り、会話の雰囲気も柔らかくなったとのこと。 - 「夫婦=家族」でも他人であることを忘れない
「結婚したら自分の一部になったと勘違いして、妻の予定や交友関係をすべてコントロールしようとしてしまった」という反省の声も 。 家族だから何を言ってもいいという感覚は、知らず知らずのうちにモラハラにつながることがあります。 ある家庭では、週に1回、対等な関係として話す夫婦会議を実施し、個人として尊重する習慣を付けているそうです。 - 見えなかった一面に驚かず、すり合わせの時間をつくる
「実は潔癖だった」「休日は寝ていたいタイプだった」など、同棲していても見えなかった生活の価値観の違いに驚いたという声が複数ありました。 ある夫婦は、月に1度「お互いの不満点を1つずつ出す」ことを決めたことで、爆発せずに対話できるようになったと話しています。 違うことは当たり前と考え、すり合わせする努力が大事なんです。 - 役割の思い込みを減らすために、週1の役割確認を
「結婚後、家事は全部女性がやると思っていた」「稼いでいる方が偉いと感じてしまった」など、無意識の役割分担が原因で不満が蓄積したという声もありました。 ある夫婦は、「金曜の夜に10分だけ今週どうだったかを話す時間」をつくり、一方的な期待を減らしたことで離婚危機を回避したそうです。 - 家族会議ではなく家事会議をしてみる
家事分担の偏りは不満を溜めやすいもの。「何をどっちがやるかでなく、しんどい時にどう助けてもらいたいかを決めておいたら、喧嘩が減った」と語っていました。 「イライラする前に伝える」「無理なときは今日は無理と言う」だけで、助け合いの空気が作れるようになったそうです。 - 相談できない夫婦にならないために、気軽な相談先を
一年目は特に「まだ周囲に言いにくい」「新婚なのに悩む自分がダメだと思ってしまう」時期です。 ある家庭では、「匿名相談アプリ」や「自治体の夫婦相談ホットライン」を利用し、「プロなら話せる」と気持ちが整理されたといいます。
結婚一年目は、自分が思い描いていた相手と、目の前の現実の相手の間にギャップが生まれやすい時期。
でもそのズレこそが、ふたりが本当にわかり合うきっかけになるのです。

「 家族になったからこそ、もっと丁寧に相手を知る」そんな小さな意識の積み重ねが、明るい10年後を作るのかも知れません。