「好きじゃない人と結婚した夫婦」の離婚率、実は0.15/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の10.2%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約1.37倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
好きじゃない人と結婚した場合の離婚率をフェルミ推定してみた【独自分析】
①「好きじゃない人と結婚」とは?対象となる結婚の定義
「好きじゃない人と結婚」とは、結婚した時点で相手に強い恋愛感情がなかったケースのことです。
たとえば、妥協の末に決まった恋愛結婚や家族や周囲のすすめによって成立した一部のお見合い婚などがこれに当てはまります。
つまり、気持ちよりも条件や流れが優先された結婚といえるかもしれません。
②「好きじゃない人との結婚」はどれくらいある?割合を推定
日本には、現在約2,735万組の夫婦がいます(厚労省『人口動態統計』2023年)。
お見合い婚は全体の10%です(内閣府『男女共同参画白書』2024年)。
このうち、「好きじゃない人と結婚した」と考えられるケースを、以下のように推定しました。
- そのうち感情が希薄な割合は30%と仮定
- 一方で、恋愛結婚(90%)のうち、好意が薄いままの割合は5%と設定
この2つを合算すると、
(0.10×0.30)+(0.90×0.05) = 0.075(=7.5%)
これを、日本の夫婦数に当てはめると...
2,735万組 × 7.5% ≒ 約205万組
つまり、205万組もの夫婦が、好きではない相手と結婚した可能性があるんです。
③仮定と統計から導く離婚確率と年間離婚件数
現在、日本全体の年間離婚確率は0.67%。
これは、183,808件の離婚が2,735万組の中で起きているという計算です。
一方で、米国の研究(PSPB, 2020)によると、恋愛感情が薄い状態での結婚は、離婚リスクが20%高くなるとされています。
この相対リスク(1.20)をもとにすると、好きじゃない人との結婚の離婚確率は...
0.67% × 1.20 = 0.81%
これを人数に当てはめてみると、
205万組 × 0.81% ≒ 年間16,500件
④好きじゃない人と結婚した人の離婚率は平均よりどれくらい高い?
推定によると、好きじゃない人と結婚した層の離婚は年間でおよそ16,500件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
16,500 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.13/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、この層の離婚率は、全国平均のおよそ8.6%を占めているんですね。
また、年間16,500件という離婚件数は、1日あたりに換算するとおよそ45組の夫婦が離婚している計算になります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「好きじゃない人と結婚した」層の離婚確率は0.81%で、約1.2倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索トレンドから見えた「好きじゃない人との結婚」の実態
①SNS投稿では「後悔」「苦悩」「意外な幸せ」の声
SNS上で「好きじゃない人と結婚した」人の投稿を分析してみると、486件のうち、ネガティブな投稿が246件(約51%)と半数以上を占めていました。
「焦って結婚して後悔している」「子どもへの影響が心配」「もう離婚を考えている」といった切実な声が目立ちました。
このことから、好きじゃない人との結婚には、感情面の不満やストレスが表に出やすい傾向があると言えます。
一方で、「最初は気持ちがなかったけど、今は幸せに暮らしている」「条件が合えば落ち着いた家庭になる」といった前向きな声も一定数ありました。
ただし、全体的には感情の振れ幅が大きく、ネガティブな内容が多いのが実情です。
こうした傾向から、離婚リスクは大きいと考え、SNS投稿の補正係数はやや高めに1.2に設定しました。
②Googleトレンドで見えた結婚への違和感
Googleトレンドで「好きじゃない人と結婚」という検索ワードを分析してみると、2015〜2017年にピークがありました。そこから緩やかに減少しつつも、検索され続けている状況が続いています。
検索されている地域は、富山・岡山・東北・福井・和歌山など、地方エリアが中心です。
これは、結婚に対する疑問や違和感が、都市部に限らず全国に広がっていることを示しています。
また、検索行動は自分自身の悩みや情報収集を目的にする傾向があるため、冷静な関心が反映されやすいのが特徴です。
このように全体として関心は落ち着いていることをふまえて、やや低めに0.95という補正係数を設定しました。
③数と声でわかる“納得できる結婚”が減っている実態
ここまでで設定したSNS補正係数1.2と、検索トレンド補正係数0.95を掛け合わせます。
1.2 × 0.95 = 1.14
この補正係数1.14をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:16,500件 × 1.14 ≒ 18,810件
年間離婚確率:18,810 ÷ 2,051,250 ≒ 0.917%/年
離婚率:18,810 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.150/1000人
そして、1日あたりに直すと…
18,810 ÷ 365 ≒ 約52組/日
つまり、毎日およそ52組の夫婦が、「好きじゃない人と結婚したこと」をきっかけに、離婚に至っているということになります。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ10.2%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、「好きじゃない人と結婚した層」は、約1.37倍の離婚リスクがあるというわけです。
今後「好きじゃない人との結婚」の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚率が下がる?お互いの理解が進んだ場合のポジティブな未来
まずは、好きじゃなくても、お互いを尊重したり、わかり合える関係が当たり前になっていく、そんな前向きな未来から想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率0.917%から、毎年0.02ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
0.917% − (0.02 × 10) = 0.717%/年
この0.717%の離婚確率を、該当する「好きじゃない人と結婚した世帯数」205万組に当てはめてみると、
年間離婚件数:2,051,250 × 0.00717 ≒ 約14,708件
離婚率:14,708 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.118/1000人
1日あたりで見れば、約40件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(約18,822件)から4,100件以上もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約11組の夫婦が、離婚を回避できる計算になります。

感情が薄い結婚でも、お互いに目を向ける習慣があれば、離婚はぐっと減らせる可能性があるんです。
②離婚率が0.2に悪化?理解不足と孤立が招く未来
一方で、「好かれてなくても結婚生活は成り立つ」と思ったまま感情のズレを放置してしまう、そんな状況が続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.03ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
0.917% + (0.03 × 10) = 1.217%/年
この1.217%の離婚確率を、同じく「好きじゃない人と結婚した世帯」205万組に当てはめてみると、
年間離婚件数:2,051,250 × 0.01217 ≒ 約24,987件
離婚率:24,987 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.200/1000人
1日あたりでは、約68件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(18,822件)と比べて、1年で約6,165件増、10年間で累計6万件以上の差が生じる可能性もあります。
全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、1.217%は約1.82倍に相当します。

お互いに無関心な関係が続くと、10年後には「結果として結婚して良かった」と思える夫婦がますます減っていくかもしれません。
③10年後にどう差が出る?離婚率・幸福度の比較と今できること
ポジティブな未来(0.671%)とネガティブな未来(1.171%)を比べると、たった10年で約0.5ポイント=約1.7倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率で見れば、0.118/1000人 vs 0.200/1000人。
年間離婚件数では14,708件と24,987件という、なんと1万件以上の違いが生まれます。
この差は、「分かり合おうとする関係」と「気持ちがすれ違ったままの関係」の違いです。
実際にネット上では、生活の中の小さな工夫から関係を築いている人たちの声がありました。
- 「結婚は生活」恋愛感情は薄れても信頼は築ける
ある体験談では、「好きじゃなくても、相手が誠実ならやっていける」と綴られていました。 はじめは感情が動かなくても、共に暮らす中で生まれる信頼や安心感が支えになるという声もあります。 - お互いを否定しないよう努力した
「共感できないときも否定しないようにしている」という意見もありました。 好きかどうか以前に、人としての尊重や態度が、長く続ける鍵になっているということですね。 - 週1回だけ自分たちの気持ちを話す時間を作った
ある家庭では、毎週金曜の夜に「今週しんどかったこと・うれしかったこと」をお互いに話す時間を設定。 忙しい毎日の中で感情を言葉にすることで、少しずつ相手を見る目が変わってきたと話しています。 - 嫌いなものが一緒だと意外とうまくいく
ある人は「嫌いな食べ物が一緒だったから気が楽だった」という珍しい視点も。 共通の苦手を共有できると、相手への気遣いに繋がりやすいという気づきがありました。 - とにかく家にルールを増やさなかった
ある方は「ルールを増やすほど息苦しくなる」と実感し、「〜すべき」をやめてみたそうです。 「完璧な関係」を目指すより、「まあいっか」と言える関係性の方が長続きすると感じたとのこと。
「好きじゃない人と結婚する」こと自体が、必ずしも悪いわけではありません。
大切なのは、そのあとでどんな関わり方ができるか。どう歩み寄れるか。

無理に「好きになろう」としなくても、「お互いを大切にする」ことで、10年後の未来は変えられますよ。