スピード婚の離婚率、実は0.28/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約19.2%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約3.85倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
スピード婚の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①そもそもスピード婚って何?対象となる夫婦の定義
ここでは、「交際期間が半年未満で結婚した夫婦」をスピード婚と定義します。
厚生労働省の『国民生活基礎調査(2023年)』によれば、日本には約2,735万組の既婚カップルがいるとされています。
まずは、このうち交際半年未満でゴールインした「スピード婚層」はどれくらいか推定していきましょう。
②スピード婚の割合はどれくらい?人口に占める比率を推定
オーネットの『結婚までの交際期間に関する実態調査(2023年)』によると、25〜34歳の既婚者のうち、交際半年未満で結婚した人の割合は6.0%とのことです。
ただ、この割合は若年層に偏っている可能性があります。
そこで全年代へ広げるために、補正係数として0.9を設定しました。
これにより、スピード婚層の割合は...
6.0% × 0.9 = 5.4%
最終的に切りのよい推定値として、5%を採用します。
すると、スピード婚カップルの数は...
2,735万組 × 5% = 1,367,500組
③データと仮定から導くスピード婚の離婚確率と年間件数
リクルートブライダル総研の『結婚生活に関する調査(2022年)』によると、交際1年未満で結婚したカップルの累積離婚率は25%とされています。
これを10年間の累積と仮定し、1年あたりの離婚確率に換算すると...
r = 1 − (1 − 0.25)1/10 ≈ 0.02836(=約2.84%/年)
この離婚確率を元に、スピード婚層が1年間で離婚する件数を計算すると...
1,367,500組 × 2.84% ≈ 38,780件/年
④スピード婚と全国平均の離婚率を比較して見えたギャップ
推定によると、スピード婚層の離婚は年間でおよそ38,780件となりました。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
38,780 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.31/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、スピード婚層の離婚率は、全国平均のおよそ20%を占めているんですね。
また、年間38,780件という離婚件数は、1日あたりに換算するとおよそ106組の夫婦が離婚している計算です。

そして、既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、スピード婚層の離婚確率は2.84%。およそ4.24倍のリスクがあることがわかります。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えたスピード婚離婚の実態
①「不安」「後悔」SNSで見られる本音と投稿傾向
スピード婚に関するSNS投稿を分析すると、ポジティブな内容が118件、ネガティブなものが87件、中立が129件という結果でした。
「婚活を効率よく終えられた」「相性が合えばスピードでも問題なし」といった前向きな声が目立つ一方、「後悔している」「相手の本性が見えなかった」など、迷いや不安をにじませる声も多く見られました。
つまり、スピード婚には「うまくいく人」と「そうでない人」がはっきり分かれる傾向があるようです。
しかし、全体としては落ち着いた感情の投稿傾向のため、やや低めに0.950という補正係数を設定しました。
②Googleトレンドで見えた検索ニーズと関心の推移
Googleトレンドで「スピード婚」を調べると、2020年以降に検索数が急上昇し、過去最高のスコアを記録。以降も検索量は高止まりしており、話題として定着していることが分かります。
特に地域別では、佐賀県・長崎県・熊本県など九州エリアや高知県・福島県といった地方部での関心が高く、都市圏よりも地方で話題になりやすい傾向が見られました。
地元メディアやコミュニティの影響で、短期間に話題が広まりやすいことが背景にあるのかもしれません。
一方、「スピード婚 離婚」という検索ワードは、山梨県や大阪府、東京都など都市部での関心が強め。
ただし、検索のピークは短期間で、継続的な底上げにはつながっていません。
これは、一部の層が一時的に調べる離婚リスクの確認として使われている可能性が高いです。
こういった全体的な検索傾向をふまえ、こちらもやや低めに0.96という補正係数を設定しました。
③SNSと検索から読み解く“声の温度差”と現実とのギャップ
ここまでで設定したSNS補正係数0.950と、検索トレンド補正係数0.96を掛け合わせます。
0.950 × 0.96 = 0.912
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:38,780件 × 0.912 ≒ 35,346件
年間離婚確率:35,346 ÷ 1,367,500 ≒ 2.58%/年
離婚率:35,346 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.28/1000人
これを、1日あたりに直すと…
35,346 ÷ 365 ≒ 約97組/日
つまり、毎日およそ97組のスピード婚夫婦が、離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のうち、約19.2%を占めています。

さらに、既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、スピード婚層の離婚確率2.58%は、およそ3.85倍のリスクがあるんです。
今後スピード婚層の離婚率はどうなる?10年後の未来シナリオ
① 離婚件数が半減?夫婦の対話や支援が進んだ場合のポジティブな未来
まずは、交際期間の短さによる「すれ違い」や「価値観のズレ」が、夫婦間の対話やカウンセリングによって補われていく、そんな前向きな未来から想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率2.58%から、毎年0.15ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.58% − (0.15% × 10) = 1.08%
この1.08%の離婚確率を、該当するスピード婚層(1,367,500組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:1,367,500組 × 1.08% ≒ 14,778件/年
離婚率:14,778 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.118/1000人
1日あたりで見れば、約40件/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(35,346件/年)から、約20,568件もの離婚が削減できるということ。
つまり、1日あたり約56組の夫婦が、離婚を回避できる計算になります。

夫婦間のちょっとした対話が積み重なれば、将来のすれ違いを避けることができるんです。
② 離婚確率4%超へ?会話・支援不足が招くネガティブな未来
一方で、「早く結婚したい」という気持ちばかりが先走って、価値観のズレに気づかないまま、支援や相談先も見つからずに過ごしてしまったらどうでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.15ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
2.58% + (0.15% × 10) = 4.08%
この4.08%の離婚確率を、同じくスピード婚層の1,367,500組に当てはめてみると、
年間離婚件数:1,367,500組 × 4.08% ≒ 55,829件/年
離婚率:55,829 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.447/1000人
1日あたりでは、約153件もの離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(35,346件/年)と比較すると、1年で約20,483件も多くなり、10年で20万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、4.08%は約6.1倍に相当します。

事前のすり合わせや支援の有無だけで、ここまでの離婚格差が生まれてしまうんです。
③ 10年後に現れる幸福格差と、今日からできる行動
ポジティブな未来(1.08%)とネガティブな未来(4.08%)を比べると、たった10年で3ポイント=約3.8倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.118/1000人 vs 0.447/1000人。
年間離婚件数では14,778件と55,829件という、なんと約41,000件もの違いが生まれます。
この差は、家庭内でのちょっとした対話の習慣によって大きく変わってくるんです。
実際にネット上では、以下のような工夫をしているスピード婚夫婦がいました。
- 価値観のすり合わせノートを作る
ある家庭では、交際期間が短かったため、生活スタイルや育児方針で衝突が頻発。 週1回、互いに「譲れないこと」「どうでもいいこと」をノートに書き出して見せ合う習慣を導入。 感情ではなく価値観の違いとして認識できるようになり、喧嘩の質が変わったといいます。 - 出会いの経緯をあえて振り返る
SNSや婚活アプリで出会ったという背景を軽視しがちだった夫婦が、自分たちの出会い方や惹かれた理由を紙に書き出し可視化。 「どんな共通点があったのか」「どこに不安を抱えていたのか」が言語化され、将来像のすり合わせがしやすくなったそうです。 - 選択的別居の提案で冷却期間をつくる
早期結婚後に衝突が続いたある夫婦は、離婚前提ではなく「考える時間」として一時的に別居。 第三者(友人や家族)を介して連絡を取り合い、物理的な距離が心の整理につながり、関係修復への意欲が高まったといいます。 - 結婚式を後からやり直すことで関係を見つめ直す
スピード婚で式を挙げられなかったことが、どこかに引っかかっていたという家庭では、結婚5年目に手作りの家族式を開催。 これをきっかけに、お互いの決意や感謝を言語化する機会になり、「改めて夫婦になった気がした」とのことです。 - 第三者のルールを導入して口論を減らす
ある家庭では、口論が感情的になるのを防ぐため、第三者(例えば芸能人夫婦や友人夫婦)のルールを真似て導入。 「夜10時以降の話し合いは禁止」「話す前に深呼吸3秒」など、外部のルールとして採用することで、気持ちに余裕が生まれるようになったそうです。 - 親との関係性を先に整える
スピード婚では、親との関係づくりが後回しになるケースも多いですが、ある家庭では、義両親と月1でオンライン通話を実施。 お互いの価値観やサポートの期待を明確にすることで、育児や生活支援の受け入れもスムーズになり、夫婦関係が安定したといいます。
スピード婚は、「短期間」であることよりも、「確認や対話の時間を飛ばしてしまうこと」に、本当のリスクがあるのかもしれません。

だからこそ、今できる小さなすり合わせが、10年後の幸福格差をぐっと縮められますよ。