子連れ再婚の離婚率、実は0.23/1000人と推定されています。
これは全国の離婚件数の約15.5%。年離婚確率で見ると、なんと全国平均の約9倍なんです。
その根拠と背景を、以下で詳しく解説していきますね。
子連れ再婚の離婚率をフェルミ推定で算出してみた【独自分析】
①子連れ再婚とは?対象となる夫婦の定義
「子連れ再婚」とは、夫婦のどちらか一方に前の結婚で生まれた子どもがいて、その子どもと一緒に暮らしている再婚家庭のこと。
いわゆる「ステップファミリー」とも呼ばれ、継親(けいしん)と子どもが一緒に生活する家族です。
今回の分析では、法的に婚姻していて、どちらかに未成年の子どもがいる再婚家庭を対象とします。
②子連れ再婚の割合はどれくらい?統計から推定
厚生労働省の「人口動態統計(令和5年)」によると、2023年の婚姻件数はおよそ47万4,741組。
このうち、およそ4組に1組(25%)が再婚。
このことから、年間の再婚件数は約11万8,685組と推定できます(内閣府「結婚と家族」より)。
そこからさらに、子連れの再婚がどのくらいかを見積もるために、離婚時に未成年の子がいる割合(51.4%)に調整係数0.75をかけて、約40%と仮定しました。
つまり、再婚のうちおよそ4割が子連れ再婚と見てよさそうです。
ここから年間の子連れ再婚件数を計算すると、
118,685 × 0.40 = 約47,474組/年
そして、平均して10年間婚姻が続くと仮定すれば、現在の子連れ再婚世帯は
47,474 × 10年 = 約47万4,740組
と見積もられます。
国内の既婚カップルが約2,735万組なので、子連れ再婚世帯は全体の約1.7%を占める割合になります。
③子連れ再婚夫婦は年間どのくらい離婚している?
では、この子連れ再婚世帯のうち、1年間でどのくらいの夫婦が離婚しているのでしょうか?
- 結婚相談所比較ネットの調査によると、バツイチで再婚した人の離婚率は約50%、バツ2以上では離婚率が70%に達する。
- MusBell(結婚相談所)調査(2023年2月/2024年9月)によると、再婚後の離婚率は50%。
このような調査結果を踏まえて、「再婚後10年以内に50%が離婚する」という仮定を置いてみます。
ここから1年あたりの離婚確率を算出すると、
1 - (1 - p)^10 = 0.50→ p ≒ 6.7%/年
つまり、毎年およそ6.7%の子連れ再婚カップルが離婚しているということ。
これを子連れ再婚した夫婦数(約47万4,740組)にあてはめると、
474,740 × 0.067 = 約31,791組/年
④子連れ再婚の離婚率と全国平均との差
推定によると、子連れ再婚世帯の離婚は年間でおよそ31,791件。
これを日本の総人口(1億2,500万人)にあてはめて、人口あたりの離婚率を出してみましょう。
31,791 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 0.254/1000人
一方、全国全体の年間離婚率は1.52/1000人です。
つまり、子連れ再婚層の離婚率は、全国平均のおよそ16.7%を占めているんですね。
また、年間31,791件という離婚件数は、1日あたりに換算するとおよそ87組の夫婦が離婚している計算。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、子連れ再婚層の離婚確率は6.7%で、約10倍のリスクがあるんです。
ただし、ここまでの推計はあくまで統計データをもとにした数字です。
次は、SNSの投稿や検索行動から、より実態に近い数値を出していきましょう。
SNSと検索データから見えた子連れ再婚と離婚の実際
①「再婚後も地獄」…SNSにあふれる本音と不安
子連れ再婚に関するSNS投稿215件を分析したところ、ネガティブな投稿が115件、ポジティブが85件、中立的な投稿が15件という結果になりました。
全体としては、ややネガティブな声が上回っている状況です。
なかでも目立ったのは、「虐待」や「性被害」「経済的な不安」など、かなり深刻な悩みやトラブルに関する投稿。
「再婚したらお前は俺の子を産んでないと罵られてズタボロになった」といった、心の傷を語る声も見られました。
とくに多かったのが「子どもの安全」に対する不安。
義父や継母による虐待・性加害への警戒は、個人の印象だけでなく、社会問題としてもたびたび報道されているテーマです。
また、「養育費を払わない」「借金が発覚」「再婚後に無職になって家計が破綻」など、経済トラブルに関する話題も目立ちました。
一方、「今日は再婚記念日。子どもも夫も義両親もいて幸せ」「血のつながりより、毎日一緒に過ごす時間が大事だと思えた」など、前向きな声もあります。
なかでも、「義父母との関係が良好」「新しい家族が支えになっている」といった投稿が印象的で、「再婚したからこそ得られた幸せ」も確かに存在していました。
中立的な投稿では、「再婚を考えているけど不安」「周りに再婚してうまくいっている人がいる」といった、悩み相談や情報共有が中心。
ネガティブな意見や不安の声が多数であることをふまえて、SNS補正係数はやや高めに1.086に設定しました。
②Googleトレンドに見る関心の変化と地域差
検索キーワード「子連れ再婚」の関心度をGoogleトレンドで見てみると、2013年〜2016年ごろにピークを迎えていました。
その後は少しずつ下がっていますが、今でも一定の検索数があり、「今でも悩んでいる人が多いテーマ」と言えそうです。
検索関心の高い地域を見てみると、上位に入っていたのは鹿児島・岩手・宮崎など、地方の県が目立ちました。
これは、支援体制の違いなどから「誰にも相談できずネットで調べる」状態になりやすい地域性が影響していると考えられます。
このように、地域によって偏りがあることをふまえ、やや低めに0.855というGoogle補正係数を設定しました。
③ポジティブとネガティブ、現実の温度差が示すもの
ここまでで設定したSNS補正係数1.086と、検索トレンド補正係数0.855を掛け合わせます。
1.086 × 0.855 ≒ 0.928
この補正係数をもとに、最初に推定した数値に反映していきます。
年間離婚件数:30,800件 × 0.928 ≒ 28,582件
年間離婚確率:28,582 ÷ 474,740 ≒ 約6.02%/年
離婚率:28,582 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約0.23/1000人
これを、1日あたりに直すと…毎日およそ78組もの子連れ再婚の夫婦が、離婚に至っているということですね。
また、この件数は全国の年間離婚件数183,808件のおよそ15.6%にあたります。

既婚層全体の離婚確率(0.67%)と比べると、子連れ再婚層は約9倍の離婚リスクがあるんです。
今後、子連れ再婚世帯の離婚率はどうなる?未来シナリオ予測
①離婚確率が4%に低下?支え合う家庭が増えたポジティブな未来
まずは、夫婦がしっかり話し合い、子どもとの関係づくりにも前向きに取り組んだ未来を想像してみましょう。
この場合、現在の年次離婚確率6.02%から、毎年0.2ポイントずつ下がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
6.02% − (0.2% × 10) = 4.02%
この4.02%の離婚確率を、該当する子連れ再婚世帯数(47万4,740組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:474,740組 × 4.02% ≒ 約19,080件/年
離婚率:19,080 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約0.15/1000人
1日あたりで見れば、約52組/日。
ここで注目したいのは、現在の数値(28,570件/年)から約9,490件もの離婚が削減できるということです。
つまり、1日あたり約26組の夫婦が離婚を回避できる計算になります。

子どもとの関係に丁寧に向き合い、夫婦で支え合う。そんな家庭が増えたら明るい未来が見えてくるんですね。
②離婚件数が3.7万件に悪化?準備不足で関係が壊れるネガティブな未来
一方で、十分な準備をしないまま再婚し、子どもとの関係性や生活の役割分担についての話し合いもない。そんな状況が続いたとしたらどうなるでしょうか。
このネガティブなシナリオでは、離婚確率が年に0.2ポイントずつ上がっていくと仮定します。
すると、10年後には…
% + (0.2% × 10) = 8.02%
この8.02%の離婚確率を、同じく該当する子連れ再婚世帯数(47万4,740組)に当てはめてみると、
年間離婚件数:474,740組 × 8.02% ≒ 約38,074件
離婚率:47,565 ÷ 125,000,000 × 1000 ≒ 約0.305/1000人
1日あたりでは、約104組の離婚が発生する計算です。
また、現在の数値(28,570件/年)と比較すると、1年で約9,504件も多くなり、10年で9万件超の差が生じる可能性もあります。
そして、全国平均の離婚確率(0.67%)と比べると、8.02%は約12倍に相当。

家族になりきれない苦しさが、家庭そのものを壊してしまうことだってあるのです。
③10年後の差と今すぐできること
ポジティブな未来(4.02%)とネガティブな未来(8.02%)を比べると、たった10年で約4ポイント=2倍もの離婚確率の差がつくことになります。
離婚率も、0.15/1000人 vs 0.305/1000人。
年間離婚件数では19,080件と38,074件という、なんと約18,080件もの違いが生まれます。
この差は、「子どもの存在をどう捉えたか」「夫婦間でどんな工夫を重ねたか」で変わってくるんです。
実際にネット上では、以下のような工夫をしている夫婦がいました。
- 「親になろうとしない」スタンスでいる
ある家庭では、継父が「父親」ではなく「信頼できる大人」として接することで、子どもとの距離が徐々に縮まったそうです。無理に家族になろうとせず、相手の気持ちを尊重したことが信頼につながったといいます。 - 叱らない・味方に徹する関係性
「叱るのは実親の役割」と決めたことで、継親が敵視されず、子どもにとっての安心できる人になれた家庭もありました。距離感を間違えないことで、自然な信頼関係が築けたそうです。 - 家庭内で役割を明確にし、夫婦で意思統一
夫婦で教育方針や対応ルールを共有しておくことで、継親と子どもの関係が安定したというケースも。役割の分担が曖昧なままだと、衝突の原因になりやすいようです。 - 子どもの過去の背景や傷に向き合う
表面的な反抗の裏にある「寂しさ」や「不安」に寄り添った継母がいました。時間をかけて丁寧に向き合った結果、関係が修復し始めたといいます。 - カウンセリングや第三者の力を活用する
夫婦だけで抱えきれない時は、学校や地域の支援機関を頼った家庭も。専門家のアドバイスによって、気づけなかった改善点が見つかったそうです。 - 最悪の事態を想定し、早めに制度を確認する
離婚や養育の問題を事前に調べておいたことで、いざという時に落ち着いて対処できたという声もありました。心に余裕があると、今の関係もより穏やかになるようです。
ほんの少しの向き合い方で、子どもとの関係は変わる可能性があります。
親になれなくても、大人として信頼される関係は築けます。

今日の一言が、10年後のあなたの家族を変えるかもしれません。